サイボウズは3月5日、2004年1月期(2003年2月1日〜2004年1月31日)の決算を発表した。売上高は過去最高の26億6000万円(前年比18.5%増)、営業利益は4億7100万円(前年比19.4%増)、経常利益は4億5200万円(前年比16.7%増)、当期純利益は2億6000万円(前年比70.7%増)となった。
事業別の売上高は、グループウェア「サイボウズ Office/AGシリーズ」が通期予想の3.5%増で18億9600万円、EIP型グループウェアの「サイボウズ ガルーン」が同マイナス28.1%減の5億6500万円で、この2製品の売上高合計は24億6200万円となり、全体の92.6%を占めている。ナレッジマネジメント製品「サイボウズ デヂエ」の売上高は1億2200万円(通期予想のプラス1.1%)、昨年7月に販売を開始したメールでの顧客対応を支援するCRM製品「サイボウズ メールワイズ」の売上高は3900万円(同マイナス30.8%)、海外事業は3400万円(同マイナス42.2%)となっている。
サイボウズ代表取締役社長 高須賀宣氏 | |
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サイボウズ代表取締役社長の高須賀宣氏は、「Office/AGシリーズの売上はほぼ予想通りで、第2四半期に発売したOffice 6へのバージョンアップは予想以上の実績だった」と語る。ガルーンについては、「新規獲得ユーザー数を562件と予想していたにもかかわらず、実績は440件だった」としており、特に第4四半期に案件数が伸び悩んだことを「今後の課題」としている。1件あたりの平均ユーザー数も、期初は平均400ユーザーと予想していたが309ユーザーという結果となった。ただ、第4四半期の1件あたり平均ユーザー数は約320で、「大きな案件は増えている」と高須賀氏は述べる。
新規獲得ユーザー数は、Officeが約22万人(期初予想約23万人)、ガルーンが約13万人(期初予想22万人)と、両主力製品ともに予想を下回る結果となった。これについて高須賀氏は「サイボウズ製品はエンドユーザー価格が8000円程度のため、パートナーにとって大きな収入に結びつくものではなく、パートナーが魅力を感じていない点に原因があると考えている。その結果、顧客からサイボウズ製品を指定された場合のみ販売するというパターンが主流だったようだが、今後は他社システムとの連携の容易さに重点を置き、システムやハードウェアとの組み合わせで販売する方法を考えたい」としている。そのため、高須賀氏は「資本的なアライアンスを含めた提携関係を進める」と述べている。
デヂエ、メールワイズについても、販売本数は期初予想を下回り、デヂエが576本(期初予想760本)、メールワイズが101本(期初予想180本)となった。
海外事業は仕切り直し
サイボウズは3年前、米国サンフランシスコに米国法人Cybozu Corporationを設立し、2002年よりサイボウズ Officeを基に開発した「Share360」を販売しているが、同製品の販売本数および販売単価は期初予想を下回り、販売本数が224本(期初予想232本)、販売単価が1746ドル(同2000ドル)となった。高須賀氏は「損益分岐点を目指してリストラも行ったが、それでも2100万円の赤字となった。今期は、米国でのビジネスモデルを再設定し直すつもりだ」と述べた。
高須賀氏は、「これまで海外での事業展開が中途半端だった」としており、「商品開発にばかりリソース配分し、マーケティング活動がうまくいかなかった」と反省点を述べる。マーケティング活動では「市場感がつかめなかった」と同氏。「米国は、日本と比較すると約3倍の市場規模がある。しかし、認知度向上のための広告費は、日本の10倍必要だ」と高須賀氏は述べ、今後はマーケティング活動も含めた事業の転換をはかりたいとした。
高須賀氏は、日本での成功要因の分析に基づいて水平展開可能な国の調査を開始するとしており、今後ドイツやイギリスなど他国での事業展開にも注力したい考えのようだ。今期は日本向けの製品にも手を加えるとしているが、「今後の商品開発は、海外展開の際に短期で商品投入ができるような開発を行う」と、高須賀氏は海外事業に向けた意気込みを語った。
なお、サイボウズでは2005年1月期の見通しとして、主力のOffice・ガルーンを含めたエージェント事業の売上を25億6000万円(前期比3.4%増)、ナレッジ事業(デヂエ)を1億9700万円(同61.8%増)、CRM事業(メールワイズ)を9900万円(同150.4%増)、海外事業を4900万円(同43%増)としている。
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