日本IBMは3月4日、同社が昨年より独立系ソフトウェアベンダー(ISV)を対象に全世界で展開している中小企業向けパートナープログラム、ISV Advantage Agreement (ISV AA)に、内田洋行、エス・エス・ジェイ、日本アイテックスが加わると発表した。これにより、同プログラムの参加企業は国内で13社となる。
ISV AAは、IBMのミドルウェア上で稼動するISVの中小企業向けソリューションの開発を促進することが目的。IBMはISV AA参加企業に対し、ソフトウェア検証施設や開発ツールを無償で貸与するほか、マーケティング費用の援助や販売チャネルの拡販支援などを行うという。
IBMでは昨年10月より、中小企業向けの市場を拡大するため、同社のミドルウェアやサーバ、PC、サービスなどを、同市場のニーズにあわせた機能と規模で提供するための「IBM Expressポートフォリオ」を開始しており、ISV AAもこの一環だという。
日本IBM執行役員ソフトウェア事業部長、三浦浩氏 | |
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これまでIBMでは、WebSphere、Tivoli、Lotus、DB2、Rationalという5つのソフトウェアブランドをそれぞれ個別に販売しており、あらゆるコンポーネントが揃っている点をアピールしていたが、同社執行役員ソフトウェア事業部長の三浦浩氏は、「従来のブランド別のアプローチでは、理解してもらえない部分があった。顧客に近づくにはやはりソリューションが必要だと感じたため、パートナーと連携したうえでソリューションを提供することにした」と説明する。ただ、「5つのソフトウェアブランドは重要で、今後もこのブランドを強化していく」としている。
ライセンス体系については、ブランドの枠を越えたソリューションパッケージでの提供となっても従来通りで、「ソリューションの内訳を示すことで明確な価格提示をする」と三浦氏は説明する。先日、日本オラクルでは低価格戦略で競合との差別化をはかると発表したばかりだが、このような対抗策はないのかとの問いに三浦氏は、「市場に見合った価格を提供できるよう、価格改定は常に行っていく」と述べた。
中小企業向けという水平方向での切り口でソリューションを提供する日本IBMだが、米IBMでは先日同社のミドルウェアを垂直市場向けに強化するとの発表を行ったばかり。この発表は、医療、生命科学、小売、通信業界をターゲットにソリューションパッケージを提供するというものだったが、日本では現在のところ具体的な垂直市場向けのソリューションは発表されていない。水平型のアプローチをした理由について三浦氏は、「水平方向、垂直方向の両面を見ることは重要だ。しかし現状では、やはり規模的に左右する要素は大きいと感じている。大規模なシステムを支える要素が中堅企業で通用するかというと、必ずしも受け入れられないからだ。ただ、IBMの製品はコンポーネント化されているため、水平方向にも垂直方向にもソリューションを提供する体制は整っている」とした。
また、同社ソフトウェア事業ISV&デベロッパー・リレーションズ部長の山野治氏は、13社のパートナーの中には、教育市場をターゲットとしたソリューションを提供する企業も含まれていると述べ、「今後日本でも米国と同様に、垂直市場に向けたソリューションが提供できるパートナーと積極的に組んでいきたい」と述べた。
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