米IBMとドイツのSAPが、中小企業向け販売の拡大を狙い、既存の共同マーケティング提携を強化する。
中小企業向け業務ソフトウェア市場は、数少ない成長分野として期待が寄せられている。IBMは今回の提携強化により、SAPの業務アプリケーションソフトウェアを導入している中規模企業向けに、コンサルティングサービスを提供する。一方SAPは来年初めまでに、自社の業務アプリケーションソフトウェアで小規模企業向けバージョンを開発し、IBMの中小企業向けデータベースソフトウエア、DB2 Expressに対応させる。
SAPはIBMとの提携強化によって、米Oracleや米PeopleSoft、米J.D. EdwardsといったERPソフトウェア市場のライバル企業を引き離したい考えだ。米AMR Researchによると、SAPは2003年の売上高が約74億ドルに達し、ERPソフトウェア市場で首位に立つ見込み。2位は米Oracleで、売上高は約26億ドルとなる見通しだ。「SAPは過去2年間、ライバルのシェアを切り崩して自社のシェアを拡大してきた」(AMR)
IBMはERPソフトウェアを販売せず、SAPやJ.D. EdwardsといったERPソフトウェアベンダーと提携することで、自社のDBソフトウェアやアプリケーション・サーバ・ソフトウェアの売上を伸ばす戦略をとっている。IBMはすでにSAPのソフトウェア導入を支援するためのコンサルティングサービスを行っているが、今回の提携強化により、「今後はハードウェアやソフトウェア製品を提供し、従来の時間制ではなく、固定料金でコンサルティングを行うなど、サービス内容に変更を加えて、小規模企業にアピールしていく」(IBM幹部)。
ERP業界といえば、6月に入ってからのPeopleSoftとJ.D. Edwardsの合併、PeopleSoftに対するOracleの敵対的買収が話題だが、SAPとIBMの幹部は「今回の提携強化は、これらの話が出る前にすでに取り組んでいたものだ」と語っている。
アナリストらは、「PeopleSoftのJ.D. Edwards買収と、Oracleの敵対的買収提案、さらにこれらに関する裁判などで生じた混乱により、ERPソフトウェアの導入を検討する企業がSAPに傾く可能性がある」と述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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