IBMは米国時間1日、業界ごとに特化したミドルウェアへの取り組みを強化し、医療、生命科学、小売、通信の各業界をターゲットにした4つのソフトウェアパッケージを発表した。
今回の発表は、IBMが先月発売した垂直業界向けミドルウェア製品に続く第二弾となる。同社は2月初めにも、銀行、保険、金融の各市場に向けたソフトウェアとサービスのバンドルを投入している。これらの製品の発売は、特定の垂直市場の企業に向けて具体的なプロジェクトに対応した技術とサービスをまとめて提供するという、IBM全社を挙げての取り組みの一部だ。特定の業界で今後発展していく(もしくはすでにある)ビジネスの需要にミドルウェアパッケージを対応させることで、IBMは顧客への対応を改善し、売上を拡大できるとしている。
IBMの業界マーケティング担当ディレクターDoug Brownによると、同社の戦略は顧客側の購入パターンの変化から生じたものだという。現在ますます多くの顧客が、特定の事業分野で求められ、また具体的なプロジェクトに適合する製品を求めるようになっている。
「これらの各業界に狙いを定めるとの判断を下したIBMには、経営コンサルタントと同じような考え方があった。つまり、各市場で最も関心の高いビジネス転換プロジェクトは何かという疑問だ。これらの取り組みは、そのほとんどが自社ビジネスの完成された部分でコスト削減を目指すか、何らかの方法で収益源を増加させようとしている顧客に向けたものだった」(Brown)
通信業界向けのパッケージは、IBM Middleware Solutionsと名付けられたバンドル製品を使って同社が取り組みたいと考えている問題の一例を示している。このパッケージでは、ネットワーク運用技術と請求システムの統合に役立つツールが顧客に提供される。Brownによると、このミドルウェアバンドル製品は、通信業者がダウンロード対応ゲームや着メロなどの新しいサービスをもっと簡単に投入できるようにすることを目指したものだという。
業界の専門家は、垂直市場に重点を置くIBMの取り組みを賞賛したが、しかし業界ごとにさまざまな製品を統合するには相当な労力が必要になると注意を促した。Summit StrategiesのアナリストDwight Davisは、IBMの製品やサービスが種類豊富で複雑であることから、それらを統合するのはかなりたいへんだと述べている。
「ライバル各社は、統合に際しての複雑さを短所だと指摘するだろう。IBMはこれらのパッケージに含まれる様々な要素がすべてきちんと連動するようにして、顧客が統合で苦労しないようにしておく必要がある。だが、必要とされる非常に多くのコンポーネントを社内開発していることから、IBMにとってこれはとても強力な戦略だ」(Davis)
この記事は海外CNET Networks発の ニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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