日本オラクルは27日、事業戦略説明会を開催し、今年夏ごろにも正式発表される予定の製品、Customer Data Hubについて説明した。これを利用すれば、他社製品で管理されているデータもすべて統合し、一元管理できるという。
説明にあたった日本オラクルマーケティング本部シニアディレクターの清水照久氏はまず、企業に存在する現在のシステムの問題について述べた。これまで企業では業務プロセスごとに、会計用システム、CRMシステム、SCMシステムなど、それぞれ担当業務のプロセスを効率化・自動化するためにシステムが構築されていた。これらのシステム同士を連携させようとすると、「たとえば20のシステムをつなぐために必要となるプログラムは190に及んでしまう」と清水氏は指摘する。
日本オラクルマーケティング本部シニアディレクター 清水照久氏 | |
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多くの企業は現在、このようにばらばらに構築されてきたシステムを統合させ、データを連携させるための仕組みを作る必要性を感じている。清水氏はGartnerの調査結果から、「年間のITコストでシステム改善に費やされるのは20%に過ぎないが、そのなかで全く新しい機能を追加するための投資は40%で、残りの60%はシステム統合に費やされている」と説明、「現在企業のITにおける課題として最も注目されているのは、インテグレーションとデータの質だ」と述べた。
この課題を解決するため、オラクルではこれまで2つの方法を提供している。1つが同社のE-Business Suite(EBS)製品を導入してすべてのデータを統合することだ。EBSにはERP、SCM、CRM、BIなどが含まれ、それらをすべて1つのデータベースで取り扱っているため、データ間のインテグレーションコストは不要になるのだという。また、データベースが単一化されているためデータ分析もタイムリーで正確だと清水氏はアピールする。
だが現状では、レガシーシステムで業務管理を行っていたり、他社のERPやCRMツールを利用している企業も多く、オラクルの提供するEBSにすべて置き換える企業はまれだろう。そこで同社では2つめの解決方法として、それぞれの企業に合ったインテグレーションサービスを行い、EBSを段階的に導入してもらうようサポートしているという。
そして今回新しく登場する予定のCustomer Data Hubで、3つめの解決方法を提供することになる。Custmoer Data Hubは、同社のEBSを全く採用しておらず、SiebelやSAP、PeopleSoftなどの他社製品で固めたシステムでも単一データベース化することができるもの。Customer Data Hubには、データの参照や更新を行うモジュール、顧客の属性などを管理するモジュール、データ整理を行うモジュールなどが組み合わさっており、「これで複数のデータをCustomer Data Hubにマスター統合できるので、単一データベースのメリットを享受できる」と清水氏は説明する。
Customer Data Hubという名のとおり、これは顧客情報の統合に特化したものだ。清水氏は、「将来は、顧客情報のみならず、製品や業界に合ったData Hubも登場する予定だ」と語る。なお同社は今年の方針として、製造業やヘルスケア業界など、業界に特化した営業戦略も展開するとしている。
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