カリフォルニア州サンディエゴ発--Oracleは、ライバル各社の先例に倣い、自社の業務管理用アプリケーションと他社の業務システムとの互換性を向上させる、Webサービスベースの取り組みを開始する。
Oracleの共同社長、Charles Phillipsは米国時間27日、今週当地で開催中のOracle AppsWorldカンファレンスの基調講演の中で、同社の数千人の顧客およびパートナーを前に、この構想を明らかにした。
Phillipsは、同社が「Customer Data Hub」と呼ばれる新製品をリリースしたと語ったが、この製品は、企業がOracleシステムや他社の業務システムにある情報を、素早く1カ所に集めるのに役立つよう設計されているという。このハブは、互換性のないアプリケーション同士でのデータのやりとりに、Webサービスの通信標準を利用しており、注文、契約、およびサービス履歴といった顧客データ用の「記録システム」を作り出すと、同氏は付け加えた。
Oracleが相互運用性に力を入れるというのは、これまでになかったことだ。同社は、互換性のない技術を混在させ、調和させることはあまり良くない考えだと、長年主張してきていた。だが、基調講演後にアナリストや報道陣と懇談したPhillipsは、寄せ集めた技術を避けられないことも多く、またこれまでのOracleの姿勢が批判を受けていたことを認めた。
Phillipsによると、Oracleはこの新製品を発表したことで、IT業界を悩ます大きな問題が存在していることを実質的に認めたことになるという。その問題とは、ソフトウェアプログラム間の互換性が欠けていることだ。同氏は、Oracleからのソフトウェア購入の障害にもなり得る問題だった「統合」という言葉は死語になると述べた。
今回の新製品は、全製品の統合を容易にすることで、ライバル製品を利用する企業に対してOracleがアプリケーションを販売するのに役立つ可能性もあると、Phillipsは語った、
Oracleのある顧客は、相互運用性実現に向けた同社の動きを、積極的に評価している。Oracle製品に関するコンサルティングサービスを専門とするロサンゼルスのVertex Systemsという企業でシニアディレクターを務めるBasheer Khanは、「計り知れないメリットがある。これまでは、(Oracleの)スイート製品を購入し、ブリッジ部分は自社開発していた。それが今度は、Oracleがブリッジを提供してくれる」(Khan)
だが、業務用アプリケーションソフトのビジネスを展開する、SAPやSiebel SystemsといったOracleの多くのライバルは、かなり前からこの問題を認めており、この分野ではOracleより優位に立っているようだ。
また、Oracleの主要なビジネスであるデータベース分野では、IBM、Microsoftの両社がすでにWebサービスを採用し、互換性のないシステムを結びつけている。
Siebelの採る、Universal Application Networkと呼ばれるアプローチは、アプリケーション統合技術に特化したパートナー企業がつくるグループと、共同で作業を進めるというものだ。このパートナーのなかには、Microsoft、IBM、Tibco Softwareなどが含まれている。一方SAPはIBM、Microsoftと協力し、それぞれWebサービスソフトを自社製品に組み込もうとしている。この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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