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Linux、ミッションクリティカル用途にはいま一歩

藤本京子(CNET Japan編集部)2004年02月23日 21時20分
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 Linuxを中心としたオープンソースソフトウェア(OSS)への注目が高まっているが、現在のOSSの動向はいかなるものなのか。また、ベンダー各社や関連団体の動きはどうなのか。野村総合研究所(NRI)は23日、メディアフォーラムを開催し、OSSに関する最近の動向を説明した。

 OSSには、端末分野でGNOMEやKDEなどが存在し、ネットワーク系やオンラインサーバ系としてLinux、Delegate、BIND、Apache、Samba、Tomcat、JBoss、Strutsなどがある。ほかにもDBサーバのPostgreSQLやMySQL、開発言語のPerl、Python、開発ツールのGCC、Eclipseなども代表的なOSSといえるだろう。NRIシステム技術部オープンソースソリューションセンターグループマネージャーの西片公一氏は、「今後も対コスト効果の観点で、これ以上の機能強化があまり期待できなくなったものやコモディティ化されたソフトウェアではオープンソースの活用が進むだろう」としている。そのようなソフトウェアとして注目を浴びているのが、OSであるLinux、J2EE系ミドルウェアのTomcatやJBoss、RDBMSのPostgreSQLやMySQLなどだと西片氏は説明した。

NRIシステム技術部オープンソースソリューションセンターグループマネージャーの西片公一氏

 なかでもLinuxへの関心が高い理由として、西片氏は「Unix系OSはすでに機能もコモディティ化されており、独自Unixを採用するメリットが薄れてきた。さらにJ2EEサーバが準OSの役割を持ったプラットフォームとなりつつあることから、Unixベンダーは次にJ2EE製品を売ればよいという方向性が見えていることが挙げられる」と説明する。また同氏は、「LinuxはC、C++等との移植性が高く、Unixのスキルもそのまま使えるため、ミドルウェアやアプリケーションの移行・開発が容易で、製品ベンダーやSIerなどにとっても不利益となることがない。この点も関心を集める理由のひとつだろう」と語る。

 一方、業務アプリケーションなどではOSSの普及はあまり進んでいないのが現状だ。この理由として西片氏は、「Unix系ベンダーや大手SIerは、自社でJ2EEサーバやRDBMSなどの製品を抱えているため、オープンソースを積極的に進めることにメリットを見出せない」としている。「特に日本ではUnix系ベンダーや大手SIerへの依存度が高く、ユーザー企業の意思決定もこれらの企業に左右されることが多い。海外では社内IT部門の専門性も高く、ユーザー企業が自らリスクを取ってOSSを採用するケースが多いが、日本の状況はこれとは異なる」と西片氏はいう。

 このように普及状況は各国の事情により異なるが、各OSS製品の技術的な要素に焦点を当てた場合、果たしてOSSは使えるものなだろうか。西片氏は、商用製品とOSSを技術的に比較した結果を報告した。これによると、Linux、Tomcat、PostgreSQL、MySQL、Apacheのうち、大規模・高信頼性システムでの利用の際、商用製品と同じか実用上問題はないという合格点を得たのは、ウェブサーバのApacheのみとなった。「Apacheは、httpサーバとしての安全性、安定性、実績において十分だといえる。採用をためらう理由は少ないだろう」(西片氏)

 Linuxに関して西片氏は「シングルCPUでのパフォーマンスは優れているものの、SMP(対称型マルチプロセッサ)利用時のパフォーマンスやファイルI/Oの安定性において、商用Unixと比較した場合まだ十分とはいえない。このため、並列分散が可能なウェブアプリケーションサーバなどへの採用が適しているだろう。ミッションクリティカル用途に採用するには、Linuxカーネル2.6の安定版が出るまで様子を見た方がよい」としている。

 Tomcatについては、「機能や性能では、商用製品のWebLogicと遜色がない。だが、JDBCドライバを含めた総合パフォーマンスで評価すると、商用製品に劣っている」と西片氏。多くのバグが報告されたケースもあり、さらには安価な商用製品も登場していることから、「Tomcatが無償というメリットはそれほど大きくない」としている。「Tomcatは過負荷時の性能劣化が激しく、障害発生時のサポートに不安があるので、小規模で非ミッションクリティカルな用途に限るのが望ましいだろう」(西片氏)

 PostgreSQLやMySQLといったオープンソースRDBMSについては、MySQLの参照パフォーマンスが商用製品(Oracle)より高いものだったとしながらも、過負荷時の安定性に問題があったとしており、「大規模や高信頼性システムへの適用には不十分だが、参照系では使える」(西片氏)と述べた。

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