Linux開発に携わるトッププログラマーらは17日(米国時間)、同OSのメジャーアップデート版、バージョン2.6.0をリリースした。この新バージョンにより、このオープンソースOSは新しい市場を開拓すると見られている。
新バージョンのLinuxの核となる部分、もしくはカーネルには、多数のプロセッサを搭載した強力なコンピュータ向けに、いくつかの変更が加えられている。こうしたコンピュータの市場は現在、LinuxのベースとなったUnixの、いくつかのバージョンが独占している。
Linuxの新バージョンは、2.4.0が2001年1月にリリースされて以来、初めてのメジャーアップデートとなる。12年前、当時学生だったLinus Torvaldsが創ったこのソフトウェアは、その後成熟を遂げ、現在では米Microsoftの主要なライバルとなり、多くのコンピュータ企業の戦略の鍵を握るものとなっている。
Linuxの生みの親で、同開発プロジェクトのリーダーを務めるLinus Torvaldsは、新カーネルのリリースを、同カーネル関連のメーリングリストに宛てたメッセージのなかで発表した。このメッセージのなかで、同氏は最終アップデート公開までに殆どの問題を取り除けたことにいくらかの満足感を覚えていると記している。「修正用のパッチがまったく要らないという訳ではないが、しかし私が自分で取り組んだバグから判断すると、仕上がり具合はかなり良さそうだ」(Torvalds)
Torvaldsは、2.6.0のテストバージョンを数カ月間凍結させており、2.6.0の開発を統括するプログラマー、Andrew Mortonは新バージョンのリリースが12月になりそうだと述べていた。Torvaldsは、2.6の開発に関して、Mortonに正式にたすきを渡し、「我々はこれからも一緒に作業を進めていくが、しかしボスはAndrewだ」との発表を行った。
Torvaldsは、残りのバグは取るに足らないもので、見つけ出すのが難しいと語り、故障しがちなハードディスクを積んだ、プロセッサ搭載数が16また32基のサーバでしか現れないという問題を一例に挙げた。
2.6.0で加わった変更のうち、最も重要なのは、マルチプロセッサ搭載サーバで動くようになったことだ。こうしたサーバーは、24時間稼働し続け、銀行の口座管理、株取引、スーパーマーケットの売上決済、電子メール配信などのタスクを処理している。Mortonによると、カーネル2.4は4ウェイ、時に8ウェイのサーバ上でも動かせることがあったが、それに対してカーネル2.6では32ウェイのシステムまでいけるという。
Linuxは、緩やかに回復しているサーバ市場の中で目覚しい成長を遂げている。調査会社の米IDCによると、今年第3四半期に、Linuxサーバの総売上高は7億4300ドルに達しており、前年同期比50%の成長を記録した。「第1四半期から第2四半期、そして第3四半期にかけて、Linuxサーバの成長率は次第に加速している」とIDCのアナリスト、Jean Bozmanは述べている。
IDCによると、第1四半期に、Linuxサーバは全サーバ市場のなかで、売上では4.6%、出荷台数では14.1%を占めていた。それが第3四半期には、売上で6.8%に、台数で16.2%に増加している。
だが、多くの顧客がカーネル2.6.0を商用で使うようになるのは、あと数カ月先のことだろう。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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