MySQL創業者来日:「ソフトウェアに特許なんていらない」

藤本京子(CNET Japan編集部)2003年09月08日 20時56分

 オープンソースのリレーショナルデータベース管理システムとして90年代半ばに生まれたMySQL。日本では、1999年よりソフトエイジェンシーがMySQLの代理店として日本語でのサポート業務およびライセンスの販売を行っている。今回MySQLの生みの親でMySQL ABの創業者でもあるMichael "Monty" Widenius氏と、同じく同社創業者で、MySQLをオープンソースソフトウェアとして世界中に広めることに貢献したDavid Axmark氏が来日し、ソフトエイジェンシー主催の記念講演会にてスピーチを行った。

 Axmark氏は、MySQLがOracleやPostgreSQLなどよりユーザーの関心が高いことを示すため、Googleにおける検索結果やリンクの数が両データベースよりもはるかに多いことを指摘する。また、米eWeek誌のベンチマークテストにおいて、Oracleと並んで最高レベルのスループットとレスポンスタイムを出した結果を見せ、信頼性が高いこともアピール。現在MySQLは、1日3万5000以上もダウンロードされており、日本は米国、中国に次いで世界で3番目にダウンロードが多い国なのだという。商用として利用されているケースも数多く、GoogleやSlashdotなどをはじめ、日本でも楽天、ソニー、NEC、東芝、日立といった企業がMySQLを採用している。また、同社は5月にドイツのSAP社と提携しており、SAP製品に同梱されているオープンソースデータベースのSAP DBは、MySQLに取って代わることになる。

MySQL創業者のDavid Axmark氏

 「はっきりさせておかなくてはいけないのは、MySQLはオープンソースではあるが、商用のデータベースであるということだ」とAxmark氏。つまり、これはボランティアによって作られたものではなく、MySQL ABという企業の開発者によって開発されたもので、GPLバージョンと商用バージョンの2種類が用意されている。「無料で使うのであれば、変更部分はすべて公開してもらいたい。商用として非公開にしたいのであれば、商用ライセンスを購入してもらいたいというスタンスだ」とAxmark氏は説明する。

 なぜ商法データベースであるのにオープンソースなのか。Axmark氏はその理由として、バグの発見が早いことをあげる。「商用のソフトウェアは通常ソースコードをオープンにしていない。しかしMySQLはコードをオープンにすることで常にユーザーの視線にさらされ、バグの指摘も迅速に受け取ることができる。またフィードバックが多いのもオープンであるからこそ。(開発者の)Montyは、講演で受けたフィードバックを講演の最中に反映させてしまうようなこともあるくらいだ」とAxmark氏。「バグが長い間修正されないでそのままになっている状況は大嫌いだからね」

 また同氏は、MySQLが初期の頃から全て文書化されている点をあげ、エンジニアの学習用にも役立つとアピールする。「他社の商用ソフトで公開されている文書は一部だが、MySQLは全てを公開しており、そのページ数は800ページ以上」(Axmark氏)で、現在英語とドイツ語で入手可能となっているMySQL文書の日本語化も進めていると述べた。

 「ソフトウェアに特許なんていらない。特許はオープンソースソフトウェアの普及を阻むものだ。特許とは他の人のアイデアを盗むことを防ぐためにあるものだが、ソフトウェアの場合はその部分にこだわると、逆に新しいアイデアが生まれなくなる。オープンであるからこそ新しいアイデアが生まれるのだ」とAxmark氏は語り、今後もオープンソースを推進していくと力説した。

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