日本ベリサインは13日、2003年12月期通期の決算を発表した。売上高は前年同期比23.4%増の42億5200万円、営業利益は同48%増の7億2900万円、経常利益は同36.7%増の6億9100万円、純利益は同52.3%増の4億1300万円となった。営業利益には、米VeriSignとの契約を10年延長した際のライセンス料(24億円)のうちの同期償却分である1億2000万円が含まれており、経常利益にはマザーズ上場にあたっての新株発行費4900万円が含まれている。
事業別の業績は、サーバIDの発行を行うマスマーケット部門の売上高が26億1400万円(前年同期比40.2%増)、企業の電子認証局としての役割を持つエンタープライズ部門の売上高が15億3500万円(同3.9%増)となっている。エンタープライズ部門の売上高の伸び率が低いように見えるのは、「2002年に大手通信キャリアからの大口受注があったため」(日本ベリサイン代表取締役社長兼CEO、川島昭彦氏)としている。
日本ベリサイン代表取締役社長兼CEO、川島昭彦氏 | |
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マスマーケット事業については、サーバID発行枚数が2002年末の2万2000枚から2003年末には2万8700枚となり、対前年成長率30%となった。これは、「インターネットの接続スピードの上昇や料金低下などでユーザー数が増加していることに加え、個人情報保護に対する意識も高まっている。決済など重要情報の暗号化送信は不可欠になりつつあり、ベリサインの証明書というブランド価値も高まってきた。このような状況から、今後もさらに伸びるだろう」と川島氏は説明する。
エンタープライズ事業は、金融機関、一般企業、コンシューマーというセグメントに分けられる。現在ベリサインの顧客として比率が高いのは金融機関で、川島氏はUFJ信託銀行の株主総会インターネット議決権行使システムに採用された事例も紹介した。一般企業では、建設業界における電子商取引や、帝国データバンクによる電子入札のための電子認証サービスにも採用されているという。今後成長する可能性の高い顧客層として同社が見ているのはコンシューマー層で、「携帯電話によるPKI認証サービスができる端末もKDDIから出荷されており、今後モバイル決済や社外からの業務アプリケーション利用といった用途が想定できる」(川島氏)としている。
2004年通期の業績見通しについては、売上高が51億1000万円(対前年比20.2%増)、経常利益が8億5500万円(同23.7%増)、純利益が5億1700万円。川島氏は、「電子商取引の拡大や、インターネット関連の市場拡大など、期待面も大きいが、国内の景気はまだ完全に回復しておらず、設備投資も控えめだ。このため、業績予想も堅めの数字となっている」とした。
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