ベリタスソフトウェアは10日、2004年度の事業方針説明会を行った。2003年度のベリタスは、市場拡大戦略の下、製品を主要プラットフォームに対応させるなど製品の拡充を行うとともに、営業体制とパートナー支援の強化を行ってきた。今年のベリタスは「ソリューション戦略では、2004年をユーティリティコンピューティング実現元年と位置づけ、同技術の実現に向けてまい進する。また、営業戦略も強化し、“攻め”の体制で市場拡大と事業の拡大を目指す」(ベリタスソフトウェア代表取締役社長、木村裕之氏)とした。
ベリタスソフトウェア代表取締役社長の木村裕之氏 | |
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まずユーティリティコンピューティング戦略について木村氏は、「市場ではまだコンセプトの域を出ないが、ベリタスはこれを実現するための製品をすでにそろえている」と述べる。2003年にLinuxとAIX対応製品を発表し、プラットフォームに依存しないソフトウェアをそろえたこと、またPrecise Software Solutionsの買収でパフォーマンスマネジメント製品を、Jareva Technologiesの買収でプロビジョニング製品を、今年1月に発表したEjasentの買収でアプリケーションレベルでの仮想化・自動化技術を手に入れたことなどで、「ユーティリティコンピューティングはすでに実現できる状態にある」と木村氏はいう。
今後ユーティリティコンピューティングを実現する製品群として同社では、2004年上期にサーバの自動プロビジョニングを実現するVeritas OpForceを、2004年下期にすべてのソフトウェア操作を一元管理できるVeritas CommandCentralを市場に投入する予定だ。また、Ejasentの買収が完了したのちには、アプリケーションの動作中でも作業に影響を与えることなくアプリケーションのサーバ間移動を可能にするUpscaleというソフトウェアや、MicroMeasureという、データセンターにおけるサーバ、ストレージ、アプリケーションの利用をユーザーもしくは部門ごとに計測・課金できるようにするソフトウェアを用意する予定だ。
木村氏は、他社のユーティリティコンピューティング戦略との違いについて、「他社ハードウェアメーカーのように、単一メーカーの製品ですべてをそろえた場合にのみ実現するというユーティリティコンピューティングとは違い、ベリタスの場合は異機種混在環境でユーティリティコンピューティングが実現できる製品をそろえている。企業では、部署ごと、あるいはプロジェクトごとに違ったプラットフォームを利用している場合が多い。今後グローバル化が進み、ITが企業のグローバル化を支えるにあたって、オープンな環境をすべてサポートすることは非常に重要だ」と述べた。
営業戦略は「攻め」の姿勢で
一方、営業戦略については「2004年は“攻め”の体制でいく」と木村氏。具体的には、パートナービジネスを強化するとともに、ダイレクトモデル営業体制も強化する。これは、販売はパートナーが行うが、ベリタスがエンドユーザーとの関係を深めることでパートナーへの橋渡しを容易にするという体制だ。さらに、既存ユーザーのサポートを強化するための社内体制を整備し、社内にテレマーケティングの組織を設置する。これにより、幅広い市場へのリーチができ、見込み客へのセールスを強化できるという。
またベリタスでは攻めの戦略のひとつとして戦略的ソリューション啓蒙キャンペーンを展開するとしており、その第1弾としてEDP(Enterprise Data Protection)キャンペーンを開始すると発表した。このキャンペーンで同社は、販売パートナーに対する技術トレーニングの実施やセミナーの開催などを進める。今後同社では、APM(Application Performance Management)キャンペーン、SMB(Small Medium Business)キャンペーンなどを実施するとしている。
米国で発表された2003年の同社の決算では、第1四半期から第4四半期まですべてが増収増益となった。木村氏は、国内ストレージ市場も2007年には現在より200億円近く成長して687億円の市場規模になるなど数々の予測データを示し、「ベリタスが手がけている分野はすべてが成長分野だ。今後もユーティリティコンピューティング戦略と攻めの営業戦略で顧客ニーズに合ったソリューションを提供していきたい」とした。
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