Red Hatは、同社のネットワークサービスを拡大し、顧客が離れた場所にある別のコンピュータからでも、Linuxサーバのセットアップや設定変更を行なえるようにする予定だ。
この「プロビジョニング」システムは、コンピュータ業界全体でブームとなっているユーテリティコンピューティングに、Red Hatが参入したことを示すものだ。同社は21日(米国時間)にこの新サービスを開始し、またニューヨークで開催される「LinuxWorld Conference and Expo」で発表を行う。
このプロビジョニングサービスは、同社のRed Hat Networkサービスの一部となる。Red Hat Networkでは現在、Red Hat Enterprise Linuxの顧客へのソフトウェアアップデート無料配信モジュールや、サーバ1台につき年間96ドルでのシステム管理モジュールを提供している。
Red Hat Networkのプロビジョニングモジュールは、管理モジュール込みでサーバ1台あたりの年間利用料が192ドルになる、とRed Hat Networkの製品マーケティングマネジャー、Sean Wittyは述べている。
このサービスでは、中央にいる管理者が管理コンソールから、テンプレートに基づいて特定のソフトウェア設定をインストールしたり、あるサーバの設定を複製して別のサーバに適用したり、サーバの設定を以前の状態に戻したり、設定ファイルを調整したりすることが可能となる。
このRed Hatの新サービスは、業界大手各社から出ている新しい管理サービスと競合することになる。たとえばSun MicrosystemsやIBM、Hewlett-Packard(HP)、Computer Associates International、Veritas Softwareなどは、それぞれプロビジョニングソフトウェアを販売もしくは現在開発中だ。
プロビジョニングは、コンピュータ業界内で徐々にコンセプトから現実へと変わりつつある、ユーティリティコンピューティングやオンデマンドコンピューティングというアイデアにとって、重要なステップの1つだ。ユーティリティコンピューティングのビジョンが実現されれば、ネットワーク化されたコンピュータがタスク要求の変化に自動的に対応するので、管理コストが減り、企業は現在抱えているタスク用に最小限の機器を購入するだけでよくなるという。
Red Hatでは今後、プロビジョニングソフトウェアを使うために必要な、人間の手作業の量を減らしていきたい考えだ。
Red Hatのプロビジョニングサービスでは、必ずしもRed Hat製の管理ソフトウェアシステムを使用する必要はない。Red Hat Networkの新バージョンでは、他のソフトウェアがサーバを監視・制御するためのプログラミングインターフェースが導入される、とRed Hat Network製品開発・エンジニアリングディレクター、Greg Petersは述べている。
このプロビジョニングサービスは、Red Hatサーバを制御する目的にのみ使用可能であるため、現在のところユーティリティコンピューティングのビジョンがカバーする企業コンピューティングネットワークのなかでは、ごく一部に過ぎない。
Red Hat Networkのサービスは、2通りのやり方で提供される。1つはRed Hat自体の運営になる中央サイトから利用するもので、もう1つは顧客がRed Hat Networkを独自に複製・カスタマイズしたサテライトサーバ経由で受けるものだ。
後者のサテライトネットワークを独自に持つには、年間2万6500ドルのコストがかかる。顧客がサテライトネットワークを使うには、以前なら情報を自社のオラクルデータベースに保管しておく必要があったが、いまでは年間3000ドルのオラクルDBを組み込んだオプションが選べるようになっている。
Wittyによると、新しく出されたRed Hat Enterprise Linuxをインストールしたコンピュータの約25%がサテライトサーバに接続しており、Red Hatではこの比率をさらに高めたいと考えているという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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