サン・マイクロシステムズは11月7日、同社のN1構想についてのプレスセミナーを行った。N1とは、複数のサーバ、ストレージ、ネットワークなどを単一システムとして扱い、自動運用管理を実現するとされるもの。同セミナーのなかでサンのプロダクトマーケティング本部本部長山本恭典氏は、同社が今年8月に買収した米CenterRunの製品でサービスレベルのプロビジョニングが実現すると述べ、他社のいうユーティリティコンピューティング関連のソフトウェアとは競合しない点を主張した。
「他社のプロビジョニング製品で実現できるのは、インフラレベルでのプロビジョニングがほとんどだ。サンはそこから一歩進んでサービスのプロビジョニングが実現できるところまできた」(山本氏)。インフラのプロビジョニングとは、ハードウェアの自動構成やサーバの自動起動といったことを指すが、サービスレベルのプロビジョニングは、アプリケーションのインストールや設定などの自動化を実現するもの。サンではすでに昨年買収したPirus NetworksやTerraspringの技術を元にインフラのプロビジョニングが実現できるソフトウェアの開発を進めており、7月にはN1 Provisioning Serverという製品も発表している。
いっぽうサービスレベルのプロビジョニングについては、CenterRunの買収で実現を目指す。CenterRunはサンに買収される以前からすでに多くの事例を作っていた。たとえばVeriSignにおける導入事例では、インストールプロセス中の手作業を95%排除し、アプリケーション展開中のダウンタイムを80%削減、6カ月でROI(投資回収率)100%を達成し、3年にわたって1020万ドルのコスト削減を実現したのだという。
サン・マイクロシステムズ プロダクトマーケティング本部本部長 山本恭典氏 | |
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このようなサービスレベルの自動化について山本氏は、「IBMにはない部分」だという。「IBMは、サービスやコンサルティングに力を入れているが、それはIBM Global Servicesという部門が受け持っている部分。つまり、サンが技術で自動化しようとしていることを、IBMは人の手を使って行っている。そこで出てくるコストの違いは明らかだろう」(山本氏)
では、IBMのTivoliや日立のJP1、HPのOpenViewといった製品とは競合しないのだろうか。山本氏は、「補完関係にあるため、パートナーだ」と語る。「TivoliやJP1などの一部機能とは競合する部分があるし、全体のコンセプトとして他社が人の手を使って実現するサービス部分も含めれば競合といえるかもしれない。だが、N1はOSだと考えてもらえばよい。他社の製品が混在した環境でも動作するよう、N1 Device Driver Kitも開発中だ」
山本氏の言う異機種混在環境でのプロビジョニングを実現するソフトウェアは、来年にも発表する予定だという。
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