米BEA Systemsは同社のWebLogic製品の次のリリースで、Javaソフトウェアの管理を簡素化したいと考えている。管理アプリケーションのコスト低下への圧力が業界に広まっていることを反映したものだ。
BEAのWebLogic 9.0アプリケーションサーバソフトウェアは、企業がJavaビジネスアプリケーションのパフォーマンスを監視し、問題を素早く見つけて対処できるよう設計されている、とBEAの最高技術責任者(CTO)代理Benjamin Renaudは、CNET News.comに述べている。
またRenaudによると、WebLogic 9.0では情報共有のためのXMLメッセージング機能が改善したほか、標準化団体が承認した最新のXMLベースのWebサービス仕様をサポートしているという。
BEAのWebLogicアプリケーションサーバは、企業向けカスタムアプリケーションの開発や実装に用いられるJava 2 Enterprise Edition(J2EE)標準をベースにしている。BEAの最高経営責任者(CEO)Alfred Chuangは今年8月の段階で、WebLogic 9.0は1年〜1年半後となる2004年後半に完成予定だと述べていた。
BEAはアプリケーションサーバソフトウェア市場で、米IBMに次ぐ第2位に付けている。同社はアプリケーション管理の簡素化に重点をおいているが、これは管理コストの安いビジネスアプリケーションに対する顧客の需要が増していることを反映したものだ、とアナリストらは言う。企業は通常、IT予算の半分以上を既存アプリケーション管理に割いているためだ。
「我々は今、何が起こっているのか全く把握できないままアプリケーションを動かすといった騒然たる状況から、よく計画された、制御可能な環境に移行しようとしている」と米Forrester Researchのアナリスト、Ted Schadlerは述べている。
Schadlerによると、コスト意識の高い企業顧客は、自社システムの利用パターンや操業コストを把握するために、より優れた情報システム管理ツールを求めているという。
「皆が物事により多くの金をかける見込みはないので、(管理機能の改善と運営コストの削減は)今後も重要になるだろう。企業の最高情報責任者(CIO)は(将来)新しいアプリケーションにより多くの金をかけようとする場合、運営コストをさらに節減する」(Schadler)
BEAの競合企業各社も、管理ツールを改善して各々のソフトウェアを充実させようとしている。
IBMはWebSphere JavaサーバとTivoliシステム管理ソフトウェアシリーズの連携を深めている。また米Microsoftは、Windowsアプリケーションから管理端末に運営情報を送りやすくする技術構想、Dynamic Systems Initiativeを始動させている。
こうした内蔵型の管理機能は、企業が、システムが目標のパフォーマンスに達しているかチェックしたり、故障を発見したりしやすくするよう設計されている。業界はWebサービス管理など複数の管理標準を軸にまとまりつつあるため、アプリケーションサーバメーカーは、顧客がすでに持っている管理ツールとアプリケーションのパフォーマンス情報を共有しやすくなった、とアナリストらは話している。
「業界では、中核となるプラットフォームに何らかの管理機能が組み込まれる傾向がある」と米Hewlett Packard(HP)のWebサービス管理製品担当最高技術責任者(CTO)、Al Smithは述べる。「独SAPや米PeopleSoft、Microsoft、BEAなどは皆、顧客から「プラットフォームと、プラットフォーム上で動くアプリケーションのライフサイクルを管理すべきだ」とのプレッシャーを受けている」(Smith)
管理機能の改善は、数十億ドル規模のJavaアプリケーションサーバ市場で支配権を争うために、どのソフトウェアメーカーも取り組まねばならない重要なセールスポイントとなるだろう。
米Gartner Dataquestの調査によると、BEAは2002年に、Javaアプリケーションサーバ市場トップの座をIBMのWebSphere製品シリーズに奪われた。IBMは来年半ばに、Javaサーバソフトウェアをよりモジュール化して配備しやすくした、WebSphereの大型改訂バージョンをリリースする予定だと述べている。
米Oracleと米Sun Microsystemsも、高額なJavaサーバソフトウェア市場でのシェア獲得を狙っている。アプリケーションサーバ事業の利益が伸び悩んでいたOracleは、今月Oracle Application Server 10gを出荷した。Oracleでは現在、1万7000社以上の顧客を抱えているという。また、BEAによると、同社の顧客は約1万5000社だという。
BEAは今夏、カスタムアプリケーションの開発環境を大幅に改訂した、WebLogic Platform 8.1をリリースした。同社は、WebLogic Workshopという視覚的なプログラミングツールを構築したが、これは強力なJavaアプリケーションの構築プロセスを高速化し、ビジネスアプリケーション統合のためのコードを書きやすくすることを目的に設計されたものだ。
WebLogic 9.0のリリースによって、BEAは管理プロセスを簡素化し、WebLogicアプリケーションの管理をより生産的にする、とRenaudは述べている。Renaudによるとこうした管理機能の強化には、管理を自動化したり、人々にタスクを割り当てたりするためのルール設定システムや、ウィザードなどが含まれるという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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