12月11日より3日間の予定で開催される今年のTRONSHOW 2004は、見どころ満載のようだ。同イベントを主催するトロンプロジェクトシンポジウム実行委員会の委員長で東京大学教授の坂村健氏は10日、イベント開催にあたって記者発表を行い、イベントにて公開される数々の技術について紹介した。
今回のイベントで新たに発表される技術のひとつが、T-DistというT-Engineのミドルウェア流通システム。インターネットやVPNを介してT-Engineを搭載した組み込み機器にミドルウェアをダウンロードし、課金まで行えるようにするシステムだ。T-Distにより、T-Engine上で動作するミドルウェアを広く流通させ、組み込み機器の開発生産性を向上させることができるという。
eTRONチップを手にする東京大学教授、坂村健氏
T-Distで流通させるミドルウェアは、マクロメディアのFlash Player、日本オラクルのOracle9i Lite for T-Engine、KDDI研究所の地上波デジタル放送受信機for T-Engine、日立エンジニアリングの指紋認証ミドルウェアなどをはじめ、坂村氏が今回発表したものだけでも27にのぼる。「再コンパイルさえすれば何でも動くということを証明したかった」と同氏は述べる。
NTTドコモからWireless T-Engine端末も
T-Engineの基盤ソフトウェア群としては、すでにT-Kernel上で動作するLinux、T-Linuxや、同じくT-Kernel上で動作するWindows CE .NETなどが発表されている。さらに10日には、T-Engineフォーラムとサン・マイクロシステムズが共同でT-Kernel上でのJava実行環境の実装が完了したと発表したことに加え、明日のイベントではNTTドコモが次世代携帯電話ネットワークにおける音声通話やメール、ウェブ検索、カメラなどの機能をT-Engine上で動作させるWireless T-Engine端末を披露する予定だという。
T-EngineフォーラムのWireless T-Engineワーキンググループでは、T-Engineアーキテクチャをベースとした次世代携帯電話向けの標準プラットフォームを開発するため、T-Engineベースの携帯電話向けハードウェア仕様とブラウザAPIを制定していた。今回の試作端末は、この仕様に基づいたものだ。
坂村氏はこの1年、T-Engineフォーラムの会長として、これまで仲が悪いとされていたLinux分野に取り組むMontaVista Softwareとの提携やMicrosoftとの提携を実現した。研究成果としても、10月には新型ユビキタスコミュニケータ、12月にはUC-Phoneを発表するなど、活発な活動を行っている。TRONSHOWではMontaVista社長兼CEOのJim Ready氏やMicrosoftバイスプレジデントの古川亨氏が講演を行うほか、T-Engineフォーラムがこの1年に発表してきた数々の技術が展示される予定だ。
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