米Oracleは、中小企業向けのERP市場を支配しようとする米Microsoftの計画に対抗するために、短期的な利益を犠牲にしてシェア獲得を狙う。
同社は27日(米国時間)、アプリケーションE-Business Suiteを新たに購入する顧客に、製造、営業、サービスの管理モジュールを無料で提供すると発表した。アナリストらは、競争の激しい中小企業向けERP市場でOracleがMicrosoftに対抗するためには、今回の方策が必要であると評価している。
米RedMonkのアナリストであるJames Governorによると、Oracleの今回の方策により、大手ベンダの大幅な値引き競争が始まるだろうという。Governorは、来年のERP市場で、Microsoftが競合他社に圧力をかけてくるだろうとみている。「ヨーロッパの中小企業向けアプリケーション市場では、現在、競争が激化しており、今後さらに加熱するだろう。この2年くらいの間に、独SAPやMicrosoft、Oracleなどが、さらに活発な動きを見せるはずだ」と、Governorは語っている。
Microsoftの中小企業向け事業部門の責任者であるOrlando Ayalaは今年初めに、従業員約5千人規模の顧客企業に関しては、MicrosoftがOracleをライバル視していることを認めている。Ayalaは、同社のBusiness Solutionsグループの売上を2010年までに100億ドル規模に拡大させることを使命としており、これが達成されれば2003年6月までの1年間の売上5.5億ドルからは大きな躍進となる。Business Solutionsグループは、Great PlainsやNavision、Microsoft CRMをはじめとする製品を販売している。
同時に、「資金調達やライセンシングがとても重要だ。それらの価値をどう生み出していくかという点で、我々の業界は極めて細分化されている。Microsoftは、細分化された部分を統合し、顧客にとって真の価値のある製品を作りたいと考える」と、Ayalaは述べている。
調査会社の米AMRは先月、ERPアプリケーションにかかる費用は、企業のソフトウェア予算の中ではすでに最高の割合を占めているが、2004年には27.2%まで増加すると予測している。
英OvumのアナリストであるDavid Bradshawは、Microsoftには確かにこの分野の製品があるが、製品を組み合わせたパッケージとなると、Longhornがリリースされるまでに完成しないだろうと述べている。Longhornは、向こう2年はリリースされないとみられている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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