米Oracle幹部が米国時間6日に語ったところでは、同社から間もなく登場するOracle 10gデータベースは、中規模企業向けの市場で米Microsoftの攻勢を食い止めるためのものだという。
証券アナリストへのブリーフィングのなかで、Oracleは、同社の主力データベース製品の最新版、Oracle 10gデータベースと10g Application Serverの、技術的な特徴や事業目標に関して詳細を明らかにした。両製品とも、年末までに発売となる予定だが、同社では、この新製品で中小企業をターゲットにすることに加え、非常に大規模なデータウェアハウス用アプリケーション向けに、数百万テラバイトのデータを扱えるように10gを設計している。
Oracle幹部によると、10gは1997年以降、同社が主力データベースで行う最も重要なアップグレードだという。このデータベースでは、複数のサーバを使って、単一のアプリケーションを実行できるようになっている。このような「グリッド」構成は、高価なハードウェアを購入する代わりに、何台かの低価格マシンのパワーを組み合わせて使えるので、経費の節約につながる。
同社によれば、9iデータベースのデータベースクラスタリングを拡張したこのグリッド機能によって、企業はさらに改善されたロードバランシングを通して、自社のハードウェアを一層効率的に利用できるようになるという。Oracleは、この新製品に管理用ウェアを同梱し、四半期決算の集計のようなピーク時の需要に対応するため、システム管理者がより多くのサーバを処理作業に割り当てられるようにする。
Oracle最高財務責任者(CFO)のJeff Henleyは、同社ではデータベース事業の対象を中小企業に拡大し、これまで強みとしてきたハイエンドの高度なアプリケーション分野からさらに事業を広げることを狙っていると語った。
既報の通り、Oracleはソフトウェアを、中小企業にとってより魅力的なものにするために、同社のデータベースの維持コストを下げることを目指していが、このような戦略は、Microsoftが得意とするものだと、Henleyは語った。米Gartner Dataquestによれば、昨年MicrosoftのSQL Serverデータベースは、Oracle製品やIBMのDB2データベースよりも大きく売り上げを伸ばしたという。
「我々がもっとも重点を置いたのは、コストオブオーナーシップの問題だ。Microsoftを食い止めたいと思うなら、これこそ基本的に我々が取り組まなければならない問題だからだ」と、Oracleサーバテクノロジー部門シニアバイスプレジデント、Andrew Mendelsohnは述べている。
Oracle 10gには、Enterprise Manager Grid Controlとい管理用ソフトが付属するが、このソフトが数多くのタスクを自動化するため、サードパーティ製ストレージ製品を利用する必要がなくなると、Mendelsohnは話している。
この管理用ソフトウェアを使うことで、データベース管理者は、1つのコンソールから、多い場合には数百ものデータベースを管理できるようになる。Oralceはパッチを配信し、データベースがきちんと設定されているかを調べる複数のツールを同梱するという。これらのツールのなかには、Automatic Storage Managementと呼ばれるものもある。これは、サードパーティ製ツールを使ってファイルシステムを管理する代わりに、直接ストレージディスク上にデータを配置する作業を自動化することで、データベースのセットアップにかかる時間を短縮し、処理能力を改善するものだと、Mendelsohnは説明した。
個別のデータベースのメンテナンスを簡単にするために、Oracle 10gは「workload repository」を導入している。これはデータベースがどのように使われているかを追跡し、問題があればこれを診断して、その修正方法を管理者に知らせるするものだ。Oracleでは、将来処理能力の調整を完全に自動化することを考えていると、Mendelsohnは述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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