米Wal-Mart Storesおよび米Procter & Gambleが、論争を巻き起こしている新技術を使ったテストを今年初めに密かに実施していたことが発覚。これは、店舗の商品陳列棚の映る位置にウェブカムを取り付け、棚から化粧用品を手に取る買い物客の様子をP&Gの社員が観察していたというもので、両社は14日(米国時間)にこれを事実と認めた。
オクラホマ州タルサ郊外のWal-Martの店舗で、4カ月間にわたって実施されたこのテストは、プライバシー擁護者から新たな批判を浴びている。このニュースを報じた9日付けのChicago Sun-Timesの記事には、「Wal-Martが無意識の顧客をモルモットにして、秘密の調査を実施」と記されていた。
Consumers Against Supermarket Privacy Invasion and Numberingを設立者、Katherine Albrechtは、「これまで我々が述べてきたことが立証された。Wal-MartやProcter & Gambleなどは、議論を呼んでいるスパイチップ技術で買い物客を実験台にし、これを隠そうとしたのだ」と声明の中で述べている。
CASPIANなどの消費者保護団体は、いわゆる電子商品棚(Smart-Shelf)機器に対して懸念を表明している。これは、商品に無線信号を発信するマイクロチップを埋め込み、その所在を把握できるようにするというもの。批判者によると、RFID(Radio Frequency Identification)とも呼ばれるこの技術は、あらゆる行動が監視される社会につながる可能性があるという。CASPIANは、米Gilletteや伊Benettonが発表したRFID計画に抗議して、各々の製品の不買運動を呼びかけた。いっぽうWal-Martを含む複数の小売業者は、これまでよりずっと効率の良い次世代のバーコードとして、RFID技術を賞賛している。
Wal-Martは、マサチューセッツ州ボストン地域の店舗で、Gilletteと共同で電子商品棚テストを実施する予定だったが、CASPIANの抗議を受けて、今年の夏にこれを中止している。しかし同社は、あまり知られていなかったProcter & Gambleとのテストに踏み切り、特殊なトラッキングチップを埋め込んだMax Factor Lipfinity製品を、3月から7月にかけて販売した。7月の時点で、RFIDチップを埋め込んだ製品は一度も販売していないとCNET News.comに対して語っていた同社関係者は、最近になってようやくLipfinityのテストを知ったと説明している。
Procter & Gambleの広報担当者は、このテストについて弁護を行い、Lipfinityを陳列した電子商品棚の近くには、顧客に電子監視システムの存在を警告する注意書きを掲示していたと述べている。しかし、この注意書きには、製品のパッケージにチップが埋め込まれているとの記述はなかった。
この広報担当者によると、専用の読み取り装置を1.2センチ程度まで近づけないと読みとることのできない同チップは、一旦店舗を出ればほとんど使いものにならないという。そして、買い物客を監視することがウェブカム設置の目的ではないとも付け加えている。彼女は、電子商品棚から集まる在庫データが正しいかどうかを、ウェブカムを通して目で確かめることができたと説明している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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