大手セキュリティ会社の研究者が、RFID(無線認識)技術に関するプライバシー侵害の懸念を緩和するため、RFIDブロック技術を生み出した。
米RSA Securityの研究所は27日(米国時間)、同社がblockerタグと名付けた技術の計画概略を発表した。blockerタグは、大きさもコストもRFIDタグと同程度だが、スキャン機器への情報伝送をブロックし、データ収集を妨害する機能を持っている。
この技術は、研究者らが現在取り組んでいる複数のRFIDブロック技術の1つで、いまのところはまだ研究所での構想段階だ。しかしRSA Laboratoriesの主任リサーチ・サイエンティストAri Juelsによると、次の段階ではプロトタイプチップを開発して、メーカーがこのプロセッサの製造に関心を示すかどうかを調べるという。blockerタグとRFIDタグはどちらも砂1粒ほどのサイズで、1つあたりのコストは約10セントだ。
RFID技術はマイクロチップを使用して、人間の手を介さずに製品のシリアル番号をスキャナにワイヤレスに伝送する。この技術はサプライチェーン管理の改善や店舗での万引き防止に役立つと考えられているが、消費者プライバシー擁護団体からは、製品追跡タグが、商品を購入した人を店から家まで追跡するのに悪用される恐れがあるとの懸念があがっていた。RFIDシステムは、メーカーの配送コストを削減し、小売マージンを増やす見込みがあるため、多くの小売会社は、最終的にはRFIDシステムが、バーコードによる在庫管理システムに置き換わると考えている。
Juelは、RSAの技術が関係者全てのニーズに対処するものとなるだろう、と述べている。RFIDタグに無効化機能を埋め込むなどの他の選択肢もあるが、blockerタグなら、消費者と企業はプライバシーを犠牲にすることなく、RFIDタグを利用できるようになる。
また同氏lは、衣服に付けられたタグが、洗濯機に適切な洗い方を指示するような日がやって来る、と予測している。
blockerタグの発想は、RFIDを無効化するのではなく、消費者がプライバシーを望むときに、特定の情報をスキャン機器に伝送するのを妨害するというものだ。blockerタグは腕時計やバッグなどにも埋め込める。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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