米Hewlett-Packard(HP)が取り組む同社Unixサーバソフトの開発作業に、立て続けに支障が出ている。ある改善項目には遅れが生じ、別のものは結局白紙に戻された。この間隙をついて、ライバルの米Sun Microsystemsは、HPの顧客を狙った乗り換えキャンペーンを展開している。
HPが10月にユーザーに対して発表したこの変更は、主にAlphaServer製品のユーザーに影響を与えるものだ。AlphaServerは、元々米Digital Equipment Corp.が開発し、米Compaqによる同社の買収、さらにHPによるCompaqの買収と、2度の買収を生き延びてきた技術だが、HPでは徐々にこの製品ラインをフェーズアウトしようとしており、これを使っている顧客には、米IntelのItaniumプロセッサを搭載したHPのIntegrityサーバ製品に移行するよう働きかけている。
HPにとって、最初のつまづきは、同社のUnixであるHP-UXに、AlphaSerer用Unix「Tru64」で実装されているハイエンド向け機能を取り込む作業が難航していることで、同社ではこの作業を最長で1年遅らせることにした。この機能強化では、長年DECの十八番であったサーバ群をまたいでサービスを共有するクラスタリング技術が追加される。この技術を取り込む予定のHP-UX 11i v3は現在、2004年末から2005年後半へとリリース時期が変更されたと、HP広報のJim Dunlapは述べている。
第2のつまづきは、HPが最後のAlphaServerプロセッサとして予定していたEV79のリリースをキャンセルし、代わりに現行のEV7の高速版をリリースすることに決めたことだ。「E79開発プロジェクトが進むにつれ、EV79はパフォーマンスや市場に導入するタイミングの点で、我々の期待に沿えないことが明らかになった」と、HPのビジネスクリティカルサーバグループのゼネラルマネージャ、Rich Marcelloは、ユーザーにあてた書簡の中で述べている。
EV7の高速版であるEV7zは、EV7と比べて14〜16%ほどパフォーマンス向上が期待できると、Marcelloは書簡の中に記している。独立系ニュースレター「Shannon Knows HPC」の筆者であるTerry Shannonによると、EV7zは1.33GHzで性能がピークに達するという。いっぽう、EV79の開発計画では1.4〜1.6GHzで稼働するチップをつくる予定だったので、もしこれが実現していれば、EV7と比べて約25%の性能向上になったはずだとShannonは説明している。
いっぽう、米Sunのほうは、Unixサーバの販売で首位に立ちながらも、現在ライバルから激しい攻撃にさらされているが、先頃ゼロ%金利のリース契約を提供する「HP Away」というプロモーションを拡大し、HPユーザーの誘い込みに拍車をかけている。このプロモーションは、米国では7月に開始され、その後欧州でも展開されるようになった。そして今回Sunでは、これをアジアにまで広げるとともに、顧客にSun製品への乗り換えを促すために6社のビジネスパートナーと新たに契約を交わした。
「これは、AlphaServerを利用しているユーザーが、いまシステムの維持に支払っているのと同等のコストで、Sunのシステムに乗り換えられるようにするものだ」と、SunのCCO(Chief Competitive Officer)であるLarry Singerは述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」