先頃、新たに有料の音楽配信サービスとして営業を始めた米Napsterが、米国時間6日、米ペンシルベニア州立大学との提携を発表した。両者は、キャンパス内で横行する違法なファイル交換に代わる合法サービス提供の取り組みの一環として、無料の音楽サービスの提供するが、このための資金は授業料のなかから出されることになるという。
現在米国の各大学は、オンライン音楽サービスやレコード会社と協力して、学生たちにKazaaなどのピア・ツー・ピア(PtoP)ネットワークに代わる公認の音楽サービスを提供する取り組みを進めており、今回のNapsterとペンシルベニア州立大による試験的プロジェクトをきっかけに、来年以降、同様の取り組みが数多く実施されると見られる。
ペンシルベニア州立大の学長、Graham Spanierは「(今回の計画は)幅広いオンライン音楽サービスを利用したいという学生たちの要望に応えるための、新たな合法的アプローチの第1弾となる」と述べ、さらに「全米レコード協会(RIAA)が法的措置を強化する中、学生たちの間では自分の行為が合法か違法かという懸念が広がっていることから、学生たちもこの計画を喜んでくれると思う」と語った。
1999年にNapsterが登場して以来、大学のキャンパスはデジタル音楽ファイル交換ネットワークの拡大に大きく寄与していると見られていることから、各大学の管理者たちは自分たちの大学が管理するネットワークの抱える法的リスクおよびストレスを軽減する道を模索してきた。
こうした取り組みの一環として、各大学は昨年の春以来、学生たちにKazaaなどのPtoP音楽ダウンロードサービスに代わる、合法的な新サービスを提供する方法を見出すことに焦点をあててきた。主要大学数校の代表者たちは、オンライン音楽サービス企業との協議を開始するため、今年5月に大手数社と接触。その後間もなく、大学は具体的な提案をするよう、サービス企業側に正式に要請した。
これを受け、キャンパス内で利用される音楽サービスの評価などを行う、音楽サービス業界と大学の合同委員会が設立され、Spanier 学長とRIAAのCary Sherman会長が共同議長に就任した。
レコード会社や音楽サービス企業は、無料の音楽配信サービス--但し、費用は授業料で賄われる--を提供することにより、学生たちが就学中に合法サービスを利用する習慣を身につけ、卒業後もそれを持続させてくれることを期待している。
CD/DVDライティングソフトメーカー、米Roxioの子会社であるNapsterのMike Bebel社長は、「今回の契約をきっかけに、学生たちは積極的に合法サービスを試用し、楽しみ、加入するようになり、卒業後に時間とお金に余裕ができた時にも、その習慣を維持してくれるだろう」と語った。
ペンシルベニア州立大学で実施予定のサービスでは、学生たちに無料で音楽にアクセスできるようにする。但し、音楽へのアクセスを無制限に認めるか、あるいは何台かのPCでだけ再生できる「拘束的な」ダウンロードを許すかは、まだ決まっていない。また後者の場合、学生がNapsterへの登録を辞めた時点で期限切れとなり、音楽を再生できなくなる。さらに、ダウンロードした曲を持ち続けていたい場合や、それをCDに焼こうとする場合には、1曲あたり99セントの正価を支払わなくてはならない。
大学側の話では、来年1月にこのサービスのトライアルが始まると、およそ1万8000人の学生が、これを利用することになるという。さらに同大学では、来秋までに学生および職員の全員にこのサービスを提供し、最終的には卒業生にも対象を拡げる計画を立てている。
このサービスの費用は、すでに徴収されている1学期あたり160ドルの「IT利用料」のなかから賄われる。この料金は、学生が学内のさまざまなコンピュータリソースを利用するために支払いを課せられているものだ。そのため、今回発表されたサービスに対しては、すでに批判の声も上がっており、「娯楽のための助成金や、あるいは低迷するレコード会社を支援するなどの目的に、授業料を使うべきではない」と言う人たちもいる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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