大学とエンターテイメント業界の代表者が、米国時間9月2日に明らかにしたところによると、大学のキャンパスで流行するファイル交換阻止に向けて、両社の間で大きな進展があったという。
発足から1年が経つ教育機関とエンターテイメント業界の提携団体Joint Committee of the Higher Education and Entertainment Communitiesの関係者の話では、大学の新入生にファイル交換の法的および倫理的問題について教えたり、大学がスポンサーとなってデジタル音楽サービス提供の試験プロジェクトを開始したりと、各大学が学生による著作権侵害問題に取り組み始めているという。同団体には、大学とRIAA(全米レコード協会)、そして米国映画協会(MPAA)が参加している。
ファイル交換ネットワークが登場して以来、学生への教育の取り組みは、学内ネットワークでの著作権侵害防止とならんで、音楽会社や映画会社にとっての重要事項となっている。学生は高速な学内ネットワークを無料もしくは低金額で利用できることが多く、これまでPtoPネットワークのもっとも活発な参加メンバーとなってきている。
教育機関と著作権関連業界で構成された同委員会発足から1年が経過した現在、大学キャンパスでのファイル交換行為低減を目指した複数の構想が立ち上がっている。同委員会関係者によると、KaZaAなどのファイル交換サービスを利用することの法的な危険性について説く教育的な取り組みは、今秋入学する多くの新入生を対象にしているという。
教育現場側では、多くの大学が、電子メールを直接送信したり、オリエンテーションを利用して、著作権で保護されたファイルを大学ネットワークを使ってアップロード/ダウンロードすることを禁じるルールを強調している。これらのメッセージは、昨春に起こされた4件を含めて、大学生を相手取った訴訟が報道によって大きく取り上げられたことや、その多くが大学の学生寮で生活する数千人の個人ユーザーに対して、RIAAが準備を進めている訴訟などによって、さらに強められている。
同委員会のメンバーは、公認のキャンパス音楽サービス開始に向けた取り組みが進展中であることも明らかにした。このサービスは、基本的に一部大学の学生寮向けケーブルテレビサービスと同じやり方で、大学側が補助金を出して、学生が合法的に音楽を楽しめるようにするというもの。先に報道されたように、各大学ではファイル交換ネットワークと競合できるよう、NapsterやRealNetworksの Rhapsodyといったサービス運営者との間で交渉を進めており、学生向けの合法的なデジタル音楽配信サービスを提供する試験プロジェクトを実現しようとしている。
また、ますます多くの大学が、米Packeteerや米Audible Magicなどの企業が提供する技術を使って、学内のネットワーク上を流れるファイル交換アプリケーション関連のデータトラフィックを阻止もしくは減速させようとしている。同委員会は、これらの技術を評価している段階で、間もなく大学に報告書を提出するという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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