独SAPは5日(米国時間)、企業向けポータルソフトウェアの最新バージョンをリリースした。このソフトウェアを使うことで、企業はさまざまなビジネスプロセスからの情報を統合できるという。
ポータルとは、業務アプリケーション、データベース、電子ドキュメント、そしてウェブからデータを収集し、社員が素早く情報を見つけだせるようこれを1カ所に集約してくれるソフトウェア。今回発表されたSAP Enterprise Portalのアップグレード版では、新しいコラボレーションツールの追加、対応言語の拡大、そしてUnixオペレーティングシステムのサポートなどの機能強化が図られている。
同ソフトがUnixに対応したことは、SAPにとって大きな前進で、今後は米Hewlett-Packard(HP)、米IBM、そして米Sun Microsystemsなどのベンダーが製造するサーバに対応できるようになる。SAPのポータルシステムはこれまで、Microsoft Windowsサーバの稼働する環境でしか利用できなかった。
SAP Enterprise Portal製品のマーケティングディレクター、Greg Criderによると、同社は、自社のソフトウェアが対応するオペレーティングシステムやアプリケーションに関して、なかなか顧客に柔軟な選択肢を提供しないとの認識を払拭しようとしているという。
「各々の顧客には異なる基準があり、また我々は顧客が既存の投資を活用できるようにする必要があるとの考えから、今回UnixとWindowsの両OSをサポートすることにした。ポータル用ソフトは、多数のバックエンドソリューションに対してもオープンである必要がある。SAPが自社の技術しかサポートしようとしないというのは、大きな誤解だ」(Crider)
SAP Enterprise Portalは、ベンダー各社のサプライチェーン管理(SCM)ツール、ERP(基幹業務)アプリケーション、そしてCRM(顧客管理システム)などのソフトウェア製品から利用できる、ウェブベースの情報アクセスポイントとして機能する。さらに、同ポータルを使うことで、顧客はSAP以外のアプリケーションやデータベースからデータを抜粋したり、各種のウェブコンテンツをその上に表示できるようになる。
同製品は、企業の業務システム構築を簡略化するためのインターネット技術であるウェブサービスの開発推進に向け、SAPが今年初めに立ち上げたNetWeaver構想と強く結びついている。
Criderによると、この新製品では、システム稼働までに擁する時間を短縮したり、特定の話題やプロジェクトに関連する情報やアプリケーションを提供するマイクロポータルと呼ばれるものを作り出したいという顧客の要望をはじめ、ポータル技術で今後出てくる多数のトレンドへ対応しようとしているという。
SAPはまた、ユーザーがアイデアを交換できる「仮想作業空間」など、さらに複雑なコラボレーション機能も追加している。このためのオンラインツールとしては、インスタントメッセージソフトウェアやウェブベースのアプリケーション共有などがある。さらに、同システムはヨーロッパ系の大半の言語や、日本語、中国語、韓国語などのアジア系の言語など、20カ国語をサポートする。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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