サンの半導体事業に光は差すか

Stephen Shankland2003年10月16日 10時00分

 長年シングルプロセッサコンピューティングのアーキテクチャの利点を強調してきた米Sun Microsystemsが、時代と共に変わろうとしている。競合他社からの圧力を背景に、Sunはローエンドの「x86」チップを自社の製品群に組み込み始めた。

 「Sunはx86ベースの製品の提供を考えている」と語るのはDavid Yen。同社に勤めて15年のベテランで、Sunのプロセッサグループを指揮する人物である。「言い換えれば、チップの分野によってはSunの資源を無駄に費やす必要はないということだ。IntelやAMD(Advanced Micro Devices)のソリューションでも十分だ」(Yen)

 これはおそらく賢明な考えだろう。従来Unixシステムはプロプライエタリなチップと共に、大半のハイエンドのデータ処理用サーバに搭載されてきた。しかし米IDCの調査によれば、2002年の第2四半期には、Intelベースのサーバがこれを上回る売上を初めて記録した。

 x86、またはIntelと互換性のあるプロセッサを製品に搭載するのは一見難しそうだが、実はそれほどでもない。Sunはここ数カ月間、ハードウェアとソフトウェアを統合したシステムという、企業の上層部が好んで口にするような製品を販売する企業として、自らを再定義しようと努力してきた。

 この全てを実現する任務を双肩に担うYenが、チップ技術の変化、そして米Afara Websystems買収後に始まったSunのUltraSparc商品群の徹底的な見直しについて、自らの考えをCNET News.comに語った。

---Itaniumの先行きは暗いと思われますか。

 Itaniumは、70年代後半の高性能コンピューティングに触発されて生まれたアーキテクチャです。つまり、非常に焦点が狭いにもかかわらず、90年代に作られた一般用途のコンピュータ環境に利用されようとしています。

 当初から、Intelはこの計画のために既に数十億ドルをつぎ込んでいるという噂がありました。また、Intelのイメージや自尊心など、全てが危機的状況にあります。ですから、IntelはItaniumを提供し続けると思います。ただし、Intelは自らの決断の重要性を理解しています。Intelはバイナリコンパチビリティを破壊した、つまりx86チップ用に書かれたプログラムがItanium上では簡単に動かないようにしたことを自覚しています。Intelは新しいエコシステムを創造しなければならないことも分かっていました。多分、Intelは自らの資力と腕力に相当自信があり、こういったことを乗り越えられると考えているのでしょう。

 実はSunも数年前、(バイナリコンパチビリティを破壊しようと)したことがあります。コンパイラを提供してOSを移植しましたが、アプリケーションのことを考えて、結局あきらめました。新しいソフトウェア環境を作ることがどんなに大変か分かっているからです。

 IntelはAMDに絶好のチャンスを与えました。AMDはAthlonの設計を基礎に32ビットから64ビットへの拡張を比較的短期間で行い、Opteronを作りました。Opteronの大きな利点は、顧客が継続して32ビット用のアプリケーションを動かせることです。

---Intelはどう反応すると思いますか。

 Intelは確かに(Opteronの脅威を)1、2年前から認識していました。(次世代Pentiumの)Prescottや新しいチップ、特に2004年発表予定のものについては、Intelは静かに64ビット拡張機能というものの導入を進めています。IntelはItanium/Opteron対決から生まれた弱点に対処しなければならなくなるでしょう。より巧みな守備が必要です。

---だからIntelはPrescottに64ビット拡張機能を投入したと。

 その通り。

---64ビットメモリに対応することで?

 Intelの64ビットアーキテクチャでは、プログラムに64ビットのアドレス指定能力が与えられる予定です。私の予想では、64ビットのレジスタと64ビットの関数ユニットも盛り込まれるでしょう。しかし基本的には、Opteronタイプで互換性のある設計になると思います。

---Sunは、一方からはIBMに、他方からはDellに攻められていますね。Sun自体が収益のデススパイラルに陥る危険性はありませんか。米Texas Instrumentsがチップ製造を支援していますが、Sunはプロセッサ技術に投資する余裕がありますか。実際は、Intelの低価格帯市場参入を許し、新しい経済原理を生んでしまってはいるのではないですか。

 率直に言って、データ処理チップを設計するのとシステム全体を設計するのに大きな違いはありません。自社のハードウェアシステムを構築するのに投資しすぎているとシステム会社を批判する人はいませんが、自社製プロセッサの研究開発に投資するのは負担が重すぎると思われがちです。私のセクションは、年間20億ドルが使われているSunの研究開発部門の中のほんの小さなセクションなんですよ。

 実際、多くのシステムパーツがデータ処理チップに取り込まれています。プロセッサは絶対に必要です。しかし、プロセッサ容量と能力が拡大した今、何をするか。より多くのものを取り込むのです。SMP(対称型マルチプロセッサ)をチップ上に搭載したり・・・

---マルチコアプロセッサのことですか?

 そう。もしくは、プロセッサが十分な性能を持ち、しかもダイの大きさのほんの一部分しか占めないとしたら、メモリコントローラやネットワーク用のインターフェース、暗号化ロジックなど、思いつくもの全てをチップに搭載するでしょう。おそらく、例外となるのはDRAM(コンピュータのメインメモリ)だけになると思います。

 そうなれば、一部のシステム企業に残された選択肢は2つです。1つは自社のマイクロエレクトロニクス技術を維持すること。そうすれば永遠に自らの運命をコントロールすることができ、自らのハードウェアを作ることができます。チップ上であろうと、ボード上であろうと変わりありません。もう1つはチップ業界に依存して全てのパーツの提供を受け、自らはシステムインテグレータに徹することです。

---(Sunが2005年か2006年に発表予定の)Niagaraプロセッサは新しいマルチコアプロセッサファミリーの第1号ですね。Niagaraの後継となるハイエンドのSシリーズはどうなっているのですか。

 実は複数のプロジェクトを抱えています。

---3つ、それとも4つ?

 2つ以上です。

---ではUltraSparc VIプロセッサはUltraSparc Vプロセッサを踏襲するのですか。それとも(Niagaraの技術を作った)Afara側のものになるのでしょうか。

 問題はそのバランスです。私たちはスーパーコンピューティングのビジョンを強力に支持していますし、このビジョンから多くの良い発想が生まれました。しかし、今日のビジネスは全て、より伝統的なプロセッサを元にしています。ですから、既存のものを拡張するための開発と、新しい製品・ビジョン・アーキテクチャの間で、資源をいかに配分するかが課題です。

 今後6カ月から12カ月の間に、特に、プロセッサ分野でSunが素晴らしい進歩を遂げるのをお見せできると思いますよ。プロセッサグループは既存のものを拡張するために開発するのではなく、より攻撃的な次世代のプロセッサを開発するようになるでしょう。

---IBMに自社のチップを製造させようと考えたことはありますか。IBMはHPのPA-RISCシリーズなどを製造しました。

 実はIBMと話し合いを持ったことはあります。主に昨年のことです。300mm(大型シリコンウエハ)の新工場への投資の償却を進めるために顧客数を増やしたいと、IBMが強く望んでいたからです。しかし、いろいろと考慮しなければならない点がありました。製品面で、IBMは確かに我々と競合しているのです。我々は信仰深くもありません。選択肢を広く持っていたいのです。過去2年間に我々は(見直しを)行い、IBMだけではなく複数の生産工場候補を検討しました。毎回、実に客観的な結論に達しました。それは、Sunは複数の最良のパートナーから1社を選ぶという結論です。

---Powerのアーキテクチャについてはどうですか。PowerはSunの哲学に近いように見えます。競合としてIBMを脅威と見ていますか。

 Power4プロジェクトはいいプロジェクトだと思いますし、Power5は正しい方向に進化しています。しかし、IBMはIBMです。彼らは多分より保守的になっていくでしょう。IBMはある種の保守主義を構築できると思います。彼らはシステムも持っており、OSも持っているかもしれません。IBMがAIXを捨てない、またはLinuxを本当に効率的で拡張性のあるものに発展させられることを前提とした話ですが。

---IBMは(チップにハードウェアのリソースを管理させることで、サーバをより柔軟にし、小さく独立した複数のサーバとして利用できるようにする)「Hypervisor」技術をチップに搭載しようとしています。

 Niagaraとその後継を含む全ての新型Sparcプロセッサは、「Hypervisor」レイヤーを内包する計画です。これにより、我々はさらなる柔軟性をもってOSとその下のハードウェアプラットフォームを切り離すことができます。より速いリリースサイクルを実現できるかもしれません。

---それにより、ひとつのプロセッサから別のプロセッサへのタスクの移動が簡単になりますか。それとも、Hypervisorというのは抽象的なレイヤーであって、あるチップ設計から次世代のチップ設計へと変える際に、ソフトウェアのことを考えずにすむようになるということでしょうか。

 Hypervisorは、新たな抽象レイヤーです。これを追加すれば、ハードウェアがより大きな柔軟性を持つようになり、SolarisのOSを邪魔することなく特定の変更を加えることができるようになります。ここでの課題は、性能を落とさないようにすることです。追加されるレイヤーは非常に効率の良く小さいもので、それでいて抽象的で柔軟性を与えるものでなくてはなりません。

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