logo

米DivX、汚名返上で、圧縮技術の覇権を握る?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 デジタルメディア関連の技術開発を進める米の新興企業DivXNetworksは、大きな論争を巻き起こした同社のビデオフォーマットについて、ハッピーエンドを迎えられるかもしれない。

 サンディエゴに本社を置く同社は、ファイル交換利用者の間でおそらく最も名が知られているかもしない。このユーザーたちは、著作権保有者からの許可の有無に関係なく、ビデオのダウンロードを高速化するために、高い評価を得ている同社のDivX圧縮技術を、これまで何年も使ってきている。そのDivXNetworksがいま、インターネットとテレビの橋渡し役として、映画スタジオや、家電メーカー各社が真っ先に選ぶ技術パートナーになることを望んでいる。

 同社は、まだわずか1150万ドルのベンチャーキャピタルしか調達していない規模の小さな会社だが、この希望を叶えられるかもしれない。来年の今ごろまでには、DivX互換のDVDプレーヤが米国の家電量販店に並ぶ定番商品となり、MicrosoftやRealNetworksといった業界大手に対して、独自フォーマットのファイルを、PCだけでなく、最も売れ行きの好調な家電製品であるDVDプレーヤでも再生可能にするよう、プレッシャーをかけているかもしれない。

 しかし、DivXの名誉挽回への道のりはまだ相当に長く、失敗に終わるかもしれない。だが同社は、家電大手の蘭Royal Philips ElectronicsとDivX再生可能なDVDプレーヤの開発に関する契約を交わし、それがヨーロッパで発売されるなど、いくつかの成功例を発表し始めている。また、豪News Corp.傘下の米20th Century Foxとも提携し、新たに開始される航空機内での映画レンタルサービス向けに、映画のエンコードも行う。

 DivXNetworksの最高経営責任者(CEO)、Jordan Greenhallは、先日行われたインタビューの中で、「家電とPCが融合した際には、DVDプレーヤがキラーアプリになると考えられており、我々はこの分野でライバルを大きく引き離している」と語っている。

 DivXNetworksによる各社との提携は、エンターテイメント企業や電子機器メーカーが、PCをテレビ画面につなげる潜在的な役割を担うものとして、インターネット向けに開発された新たなビデオフォーマットが注目を集めているなかで決まったものだ。この分野では、ビデオ標準として提案されているMPEG-4のさまざまな形式や、Microsoftの独自技術、そしてRealNetworksのマルチフォーマットHelixプラットフォームまで、規模で大きく勝るライバル各社から、 DivXと競合する多数のフォーマットが出されている。

 消費者の間で、ブロードバンド接続やワイヤレスなネットワーク利用が定着しつつあるなかで、PCはパーソナルなメディアファイルサーバーの役割を担おうとしている。これは、音楽、写真、テレビ番組やその他のエンターテイメントを、家庭内に散在する各種の電子機器に送り届けるものだ。現在、テレビ向けにインターネット用ビデオ圧縮フォーマットをサポートするデバイスの数はわずかしかないが、その状況も急速な変化を見せている、とアナリストは述べている。

 The Envisioneering Groupのアナリスト、Richard Dohertyは、「今秋、すでにテレビとPCは接続可能な状態になっている。そして、クリスマスにはコンピュータオタクがいない家庭でも、このふたつをつなげられるようになるだろう」と語った。

 現行のTV用ビデオ標準で、多くの放送局や大半のDVDで採用されるMPEG-2と比較すると、ライバル各社の技術と同様に、DivXも圧縮率が大幅に向上している。DivXを使えば、標準的な4.7GバイトのDVDは品質を大幅に落とすことなく、約700Mバイトにまで圧縮できる(MicrosoftとRealNetworksも、同様の圧縮率を実現していると主張している)。

 DivX互換のDVDプレーヤを利用すれば、コンピュータのファイルを焼いたディスクからのものであれ、イーサネットポートから直接回線を使ってダウンロードしたものであれ、消費者は自分のPCに保存したさまざまなファイルを再生することができる。つまり、消費者は自分の思い通りに、コンピュータに膨大な長さの番組を保存したり、それを再生して楽しんだりできるようになり、TiVoに似た非常に強力なデジタルビデオレコーダが実現するということだ。

 高い人気を得た多くの技術同様、DivXも、その作者が直面したある特定の問題を解決するために開発された。作者のプログラマー、Jerome Rotaは、オンライン名の「Gej」といったほうが通りがいいかもしれないが、ある時自分の作品をポートフォリオにまとめたいと考えた。だが、人気の高いAVI(Audio Video Interleaved)ファイルフォーマットでは、作品を圧縮して、配信する手段が見つからなかった。

 そこで、RotaはMicrosoftのプログラムに手を加えてAVI互換にし、その技術をIRC(Internet Relay Chat)のチャットルームで知りあった1人の友人に送った。すると、Rotaの元に数万件ものリクエストが殺到したのだ。

 GejはDivXを開発して4年で、マニアの間、特にファイル交換利用者の地下コミュニティーではカルト的な人気を誇る存在となってしまった。当初は「DivX;-)」というスペルだったソフトの名前も、もともとDivxというコピープロテクトのかかったビデオフォーマットの売り込みに失敗した映画スタジオを茶化したものだった。

 その後、GreenhallがGejを探し出し、同技術を利用した会社を共同で設立しようと説得した。

 Greenhallによると、同社はオリジナルのDivX;-)のコードを徹底的に作り直し、Microsoftのコードが元になっているとの主張が殺到していた同ソフトウェアの合法性に関する疑問を完全に払拭したという。

 「DivXコードは潔白だ。DivXNetworksが会社になる前から潔白だった。いずれにせよ、何らかの知的財産関連の問題が提起されていたかどうかは明らかではない」(Greenhall)

 DivXにとっては、Microsoftとの競合を別にすると、同社の技術をインターネットの著作権侵害と同一視してきたコンテンツ保有者との関係修復が、最大の課題となる。

 法的に認められたインターネットビデオのダウンロードサービス分野では、Microsoftの技術が最有力だ。CinemaNowやMovieLinkといった映画会社が支援するベンチャー事業や、YahooのLaunchサービスといったサイトでのミュージックビデオ提供に、同社の技術が使われている。また、ライバルのRealNetworksは、RealOneサービスを通じたインターネットストリーミングで健闘しているが、同社はハリウッドよりもライブ中継の番組やニュースに焦点を絞っている。

 DivXはスタジオ各社に積極的に働きかけ、コピー防止機能を開発し、完全に更生した市民という印象を与えようとしてきた。だが、いまだに部外者のままである。

 EnvisioneeringのDohertyは、「大量の個人向けコンテンツがDivXでエンコーディングされている。その数はWindows Mediaより多い。だが、その多くが合法ではないという負の面がある。DivXは米国映画協会(MPAA)CEOのJack Valentiが心臓発作を起こすような、映画の世界の共通語なのだ」と語る。

 DivXNetworksは、ワシントン州タコマに本社を置く航空機内向け映画貸出サービスのAPSと、今月初めに結んだ契約を挙げ、著作権保有者への継続的な働きかけが功を奏しつつあると反論した。同サービスでは、20th Century Foxをはじめとする多数のコンテンツ保有者が提供する番組を流しているが、このエンコードにはDivXが使われている。また、Alaska Airlinesでは、最大30本の長編映画をはじめ、各種コンテンツを格納できるDivXのdigEmediaプレーヤを1000台購入する契約を結んだ。

 これに続き、別の映画配給会社であるStrand Releasingや2年前にMuppets DVDプロジェクトでDivXコードを採用したThe Jim Hensonとの間でも、同様の契約が結ばれている。

 DivXNetworksのGreenhallは、「メディア業界の経営陣は、これまでの経緯からDivX技術採用に懸念を抱いてきた」と認めながら、しかし「Foxとの契約は小手調べ・・・緊張緩和を示す政治的な兆候だ」と語っている。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

-PR-企画特集