5月29日(米国時間)、米AOL Time Warnerとの間で和解が成立したことで、米Microsoftは自社のデジタルメディア技術を普及させる上で、強力な味方を得たことになる。デジタルメディア技術は、同社にとって、世界中で圧倒的なシェアを誇るオペレーティングシステム(OS)Windowsの勢力を維持しつつ、さらに新たなデバイス類にまで、その普及を拡大していくための計画の一環となっている。
今回の和解によって、AOL Time Warnerは、MicrosoftのWindows Media 9 Seriesソフトウェアや、音楽・ビデオファイル用のデジタル著作権管理(DRM)ツールなどを含む、今後登場してくるマルチメディア技術を利用することができるようになった。ただし、AOL側に、Microsoftの技術の利用が義務付けられるわけではない。
この条件には制限がついてはいないものの、Microsoftにとってはこの和解は重要な勝利といえる。同社では長年にわたって、AOL Time Warnerなどのメディア企業がRealNetworksやApple Computerなどライバルのデジタルメディア技術を採用し、自社の技術をなかなか使いたがらない状況を打開しようとしてきていた。
「Microsoftにとっては、これは大きな勝利」とガートナーのアナリストDavid Smithは語った。
今回の発表は、4月末にAppleがiTunes Music Storeを開設し、僅か数週間で数百万曲の売上を記録して、Microsoftを守勢に立たせた、その矢先の出来事となった。
AOL Time Warnerは、合意に盛り込まれたMicrosoftの技術のうち、具体的にどれを使うかについては明らかにしていないものの、たとえばデジタル音楽ダウンロード販売やインターネット経由のビデオのオンデマンド配信などで、Windows Mediaを利用した製品やサービスを発表するの時間の問題だと、複数のアナリストが述べている。AOL Time Warner傘下のWarner Music Groupは複数のレコードレーベルを抱えており、世界の音楽業界大手5社のひとつに数えられ、膨大な数の楽曲をコントロールしている。
広い視点から眺めれば、今回の和解は、両社がテクノロジー関連の競合する利害のもつれを解きほぐすものと解釈できる。両社は過去に、ウェブブラウザやストリーミングメディア技術、インスタントメッセージサービスなど、数々の分野で競合するソフトウェアを提供し、衝突を繰り返していた。今回の和解によって、かつて競合したすべての分野で、両社が協力を進める土台ができたことになる。
「今回の和解は、両社の間に雪解けが訪れたことを示している」とDirections on MicrosoftのアナリストMatt Rosoffは言う。「両社は別の道を歩みつつあり、AOLはもはや自社をハイテク企業だとは考えていない。だから、今後は使って意味のある製品なら、どこのものでも利用していくだろう」
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」