ボーダフォンは10月1日、社名がJ-フォンよりボーダフォンとなり、またブランド名も世界統一ブランドであるボーダフォンに変更となるにあたって記者会見を行った。2001年9月に旧J-フォンの親会社、日本テレコム(現・日本テレコムホールディングス)が英Vodafone Groupに買収されたのち、J-フォンではボーダフォングループの一員であることをアピールすべく、携帯端末にロゴを入れるなどしてきたが、今回社名とブランド名もボーダフォンに統一することになった。一方、日本テレコムはその後持ち株会社化して社名を日本テレコムホールディングスと変更、子会社となった固定通信部門の日本テレコムは今年8月22日リップルウッド・ホールディングスに買収され、本日新経営陣が発表されている。
社名とブランド名を一新したボーダフォンだが、契約者数の伸びが鈍化しているのが現状だ。これについて同社代表執行役社長兼CEOのDarryl E. Green氏は、「J-フォンショップからボーダフォンショップへの変更にあたって、一部の店舗で一時閉鎖を余儀なくされた点や、ブランド変更が一部のユーザーに不安を与えてしまったのかもしれない。だがこれは一時的なもので、今後うまくアピールしていく」と語った。
Green氏によると、J-フォンからボーダフォンとなることでユーザーの一番のメリットは、携帯端末の数が増えること。「これまでJ-フォンは、端末の数でドコモにかなわなかった。しかしこれからは確実に端末の選択肢が増えることになる」とGreen氏。なかでも同氏が「これからの目玉商品」と称しているのが、今年12月に発売予定のNEC製テレビチューナーつき携帯端末だ。
テレビ機能つき携帯を手にするボーダフォン代表執行役社長兼CEO、Darryl E. Green氏
J-フォンからボーダフォンへとブランド名が変わるにあたって、ユーザーの大きな不安のひとつにメールアドレスの変更があった。この点についてGreen氏は、「既存の顧客に迷惑をかけることだけはしたくない。ユーザーがメールアドレスの変更を望んでいない場合、(受信メールについては)これからもずっと従来のメールアドレスが使えるようになっている」と説明している。
昨年12月に第三世代(3G)サービスを開始した同社は、同サービスへの加入者数を当初「2003年末までに100万人」と見込んでいたが、Green氏によるとチップの開発が遅れていることなども影響し、「この目標は達成が難しくなってきた」としている。しかし、これまでの端末に加え、今年11月には三洋電機製の3G端末が、12月にはシャープ製の3G端末が発表されるとGreen氏はアピール。さらには「2004年10月までに、J-スカイだけでなくWAPなどにも対応した機種を6種類出していく」とし、これらの機種がボーダフォングループ全体で使える端末になると説明する。ちなみに、ボーダフォンより一足早く昨年4月に3Gサービスを開始したKDDIグループは、今年7月22日に900万契約を突破、それよりさらに早く2001年10月に3Gサービスを開始したNTTドコモのFOMAは、サービス開始後丸2年経った先月30日に100万契約を突破したと発表しており、現在のところ3G市場ではKDDIが優勢だといえる。
「10年前、携帯電話の普及率がまだほんの5%程度だった頃には考えられないことが携帯電話の世界で起こっている。日本の人口の半数以上が携帯電話を利用している現在、出かける時に持っていく物のトップ3として、鍵・財布・携帯電話という調査結果もあるほどだ。今後の携帯電話には、鍵や財布の機能、また通勤定期、社員証などの機能も組み込まれていく。携帯電話が個人の生活に与える影響は大きい。世界共通ブランドとしてボーダフォンは、世界の移動体通信業界へ影響を与えるだろう」(Green氏)
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