標準を狙うインテルとIBMのブレード協定

 米Intelと米IBMのブレードサーバ構築を目指す提携関係から、先週初めての成果が姿を現したが、このモデルを業界で広く使われる標準にするという両社の計画は、他社の抵抗に直面している。

 IntelとIBMがブレードサーバの開発で提携したのは、1年前のことだ。このパートナー関係から結実した初めての成果が、先週インテルの手で公開された。だが、同社が開催中のIntel Developer Forum(IDF)の席上で発表したデュアルプロセッサのCompute Blade SBXL52は、IBMが2002年後半に発表したBladeCenterと名前しか違わない。IBMでIntelサーバ製品マーケティングのディレクターを務めるJeff Benckによると、4プロセッサ搭載ブレードとなる次のモデルは、Intel主導で開発を進めているという。

 両社は手を組むことで、充分な台数の製品を販売し、自らの開発した設計が事実上の標準となり、いまだ生まれて間もないブレードサーバ市場の混沌とした状態を一掃することを望んでいる。そして、実際この市場には整理の余地がたくさん残っており、調査会社のIDCでは、サーバ市場全体よりも急速に成長すると考えている。現在、ブレードサーバを提供している米Hewlett-Packard(HP)、米Dell、米IBM、米Sun Microsystems、米RLX Technologies、米Egenera、米Linux Networxはそれぞれ、この薄型サーバを大規模なシャーシに挿入するのに、異なったテクニックを使っている。

 IBMのBenckは、自社とIntelの取り組みについて、「デファクトという観点からは、標準といえる」と述べる。両社は「このプラットフォームに関して一緒に作業したいというベンダーに対しては、門戸を開いている」としながらも、技術を統括するための中立的な業界団体を立ち上げたわけではない。

 一方で、Intelプロセッサ搭載サーバのトップベンダーであるHPは、IntelとIBMのアプローチに苛立ちを隠さない。「自分たちが標準を握ろうという意図があからさまだ。標準策定委員会も存在していない」と、HPで業界標準サーバプラットフォームグループを率いるPaul Millerは語る。

 また、同じくHPでブレードサーバ・プラットフォームグループのディレクターを務めるSally Stevensは、「HPが推進する業界標準は、標準化団体が策定した真にオープンな標準だけであって、特定の2社が報道資料を作成して発表するような標準ではない」と言い切った。

 ブレードの標準は、中立的な団体が策定するにせよ、あるいは独占的立場にある特定企業グループが策定するにせよ、重要な問題だ。もしIBMとIntelが標準を握れれば、両社は製品開発において、少なくとも1年分は他社に先行することになる。

 だが、ブレードの標準確立を求めているのは、IBMとIntelだけではない。Dellの最高経営責任者(CEO)、Michael Dellは、今月行った講演のなかで同様の主張を行っているし、Blade Systems Allianceというコンソーシアムは、標準の普及をミッションに掲げている。

 「IBMとIntelの取り組みが、すぐに成功を収めるとは期待しないほうがいい」というのは、調査会社Illuminataのアナリスト、Jonathan Euniceだ。「Dell、HP、Sunらが、IBMに続くとは思えない。皆、あと3〜5年もすれば万国共通のブレード標準ができることは分かっているが、誰も自分のほうから降参したくはない。ブレードでもコモディティ化の動きはすでに加速しつつあり、どのベンダーもこれ以上そのスピードを速めたくない」とEuniceは述べ、ベンダー各社は、顧客があるベンダーから他社へと容易に乗り換えできるようになる時期を遅らせたがっているのだ、と説明した。

 Dellはいまだに自社の計画について口が堅い。「標準化の取り組みについて、具体的な事柄を業界と協議する態勢はまだ整っていない」と、同社の広報担当者はコメントしている。

 トップをゆくサーバメーカーだが、Intelプロセッサ搭載製品についてはつい最近製造を開始したばかりのSunは、IntelとIBMの計画に関して、HP以上に慎重な姿勢をとっている。Sunの広報担当者は、「我が社は現在、Intelが新たに提案したModular Computing Allianceの目指すものを評価しているところだ。もし、この目標がわが社のビジョンと一致するものであれば、この取り組みへの参加が道理にかなっているかを検討する」と述べている。

 ブレードサーバはシャーシ内に挿入でき、ちょうど本棚の本や食器棚の食器のように、並べて設置することが可能だ。シャーシはふつう、電源や、外部にあるネットワークおよびストレージシステムへの接続といった、共有リソースを提供するものだが、スダンドアロンのサーバではこうしたリソースはそれぞれのマシンが独自に搭載している。ブレードサーバは将来、独自のストレージシステムを持たなくなり、いま以上にネットワーク接続に依存するようになると予想する人が多い。

 IDCは9月に発表したレポートで、「ブレードサーバが、爆発的成長を遂げる寸前にある」と述べている。「ブレードサーバは2003年第2四半期、41万台を販売し、全サーバ出荷総数のわずか3%を占めたに過ぎないが、2007年には、世界のブレードサーバ出荷台数は220万台を上回る。これは、全サーバ販売台数の27%にあたる」(IDCの同レポート)

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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