サンフランシスコ・ベイエリアで16日(米国時間)、企業に対し、IT関連その他の職の海外移転について指導する会議が、2日間の日程で開催されたが、これに反対するデモ参加者も会場前に終結した。職の海外流出の増加はコンピュータ業界全体を揺るがす問題となっており、ベイエリアでは今回のデモ以外にも、この問題をめぐる抗議行動が相次いでいる。
16日の午前8時30分(太平洋夏時間)、およそ50人の労働組合員と失業中のコンピュータ技術者が、Hyatt Regencyホテルの前に集結した。同ホテルでは今週、Brainstorm Group主催の「Nearshore and Offshore Outsourcing Conference」が開催中だった。
1時間に及ぶデモ活動を組織したのは、サンノゼに拠点を置く全米通信労働組合(CWA)の支部だ。参加者たちはピケを張り、「Stop Off Shoring!」(海外へのアウトソーシングをやめろ!)と書かれたプラカードを掲げ、これを見たBayshore Highwayを通行中のドライバーたちは、クラクションを鳴らして、デモへの支持を表明した。
現在失業中のハードウェア/システムエンジニア、Cary Snyderは群衆を前にした演説の中で、「企業のアウトソーシングが原因で、かつて無かったほど多くの職が、カリフォルニアや米国内から失われつつある。今こそ一致団結すべき時だ」と呼びかけた。
シリコンバレーや米国から国外へ流出しているIT関連職の数は、確かに増加傾向にある。調査会社Forrester Researchは、国外へ流出する米国のコンピュータ関連職の数は、2000年の約2万7000件から2015年には47万2000件以上にまで増加すると予測している。
ベイエリアはまさにこの傾向の中心地といえる。Sun Microsystems、Oracle、Hewlett-Packardなど、ベイエリアに拠点を置く企業が率先して、インドやロシアといった国々でスタッフを増員する計画を進めている。こうした国々は、人件費が安く、豊富で、しかも高度な技能を持った人材を提供する労働市場となっている。また、今回の抗議行動で演説を行った、環境保護団体Silicon Valley Toxics Coalitionの代表者によると、これらの国々では、米国や欧州に比べ、環境や労働に関する規制が緩いという。
海外の労働市場を利用して、コスト削減を図ろうとしているのは、何もハイテク企業に限ったことではない。調査会社Gartnerによると、Fortune 500に名を連ねる企業のうち、300社以上がインドのITサービス企業にデータセンターやコールセンターの運営を委託しているという。
この問題と関連する経済のグローバル化の概念と同様に、最近、海外へのアウトソーシングの問題も物議を醸しており、活動家や失業した労働者からは怒りの声が上がっている。いっぽう、特に企業側では、海外へのアウトソーシングを賞賛するか、あるいは避けようのない経済的な現実と見なしている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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