インド:ITアウトソーシングは米国経済を助ける

 インドのIT業界団体によると、ソフトウェアコーディングやビジネスプロセスをインドにアウトソーシングすることが、米国内での雇用数を向上させることにつながるという。

 ソフトウェアやサービス企業の団体であるNasscom(National Association of Software and Services Companies)は、インドにアウトソーシングする傾向のメリットを強調しながら、「事実と数字を正しく示す」ことで、アウトソーシングという手法のもう1つの側面を正当化する必要があることを示したいと述べた。

 Nasscomは、米McKinsey & Co.などから入手した統計を示して、米国は、ビジネスオペレーションを海外に移行することで、今後6年間に3000億ドルを節約できると主張した。

 NasscomのWebサイトには、次のように書かれている。「ITES(IT Enabled Services)/BPO(Business Process Outsourcing)市場は、2009年に1420億ドル規模に達する見込みだ。それに対し、現在これらには5320億ドルのコストがかかっている。この差額の3900億ドルは、米国経済がオフショアへのアウトソーシングにより節約できる数値を意味する」。

 IT調査分析会社の米Gartnerが最新出した報告によると、この傾向の影響を最も大きく受けるのはインドで、今年のオフショアへのビジネスアウトソーシング市場の半分以上を占めているという。インドのBPOの売上高は、10億ドルをわずかに下回った2002年から、2003年には12億ドルに達しており、世界のオフショアBPO史上の66%を占めるだろうと予想している。

 「米国の銀行、金融サービス、保険会社などは、インドにITをアウトソースすることで、過去4年間に60〜80億ドルを節約した。これらの節約に助けられ、企業はレイオフを回避できたばかりでなく、12万5000件もの新規採用を作り出した」とNasscomでは主張している。

 Nasscomの発表した意外な事実により、地域経済や労働者にアウトソースする影響についての論議が、今後さらに活発化することが予想される。

 長い間、米国の労働者団体は、オフショアへのアウトソーシングというトレンドに反対し続けてきた。これらのグループでは、米国内の雇用が減ることだけではなく、外国のIT就労者のスキルレベルも疑問視しており、この動きが長期的には米国の技術リーダーシップを衰退させることにつながるのではないかと恐れている。

 最近の動きとしては、米Microsoftがノースカロライナ州とテキサス州にある顧客サポートセンターをインドに移転する計画を明らかにしており、シアトルのWashington Alliance of Technology Workersなどの労働組合の怒りを買っている。Washington Alliance of Technology Workersは、Microsoftのこの計画で、数百単位の米国の雇用が失われると主張している。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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