インドのコールセンター産業は繁栄しているものの、働き手の側ではそれほど満足していないようだ。
誕生間もないこのビジネスは今、従業員の高い離職率に直面しており、業界のリーダーたちはこの動きに注目している。
業界団体のNational Association of Software and Service Companies(NASSCOM)は最近、この問題に取り組む特別なタスクフォースを発足させた。同タスクフォースは、長期的に熟練した人材を確保できるようにするための方策も探っていく。
「現在のコールセンター業界の平均離職率は30から35%だ。電話サポートの有る仕事と無いものとで比較すると、無い仕事のほうがずっと離職率が低い」と、バンガロールで最近開かれた業界内のミーティングの席で、Icici OneSourceのバイスプレジデントを務めるAshu Calapaは語った。
インドのコールセンター産業は現在、米国風のニックネームを名乗り、米国の顧客からの電話に答える16万人の従業員を雇用している。彼らは外国語のアクセントを学び、米国時間に合わせるために夜間勤務を行い、またそのために変わってしまった社会生活や家庭生活に適応しなくてはならない。
コールセンターという労働環境に特有なこれらの要因が、従業員の高い離職率や彼らの就労意識に大きな影響を与えていることが最近の調査で判明した。従業員はまた、新しい業界で働くことから生じるリスクにも直面している。
「全体として、これらの事柄すべてが、働き手が生活のあり方を考え、コールセンター業界で働き続けるという長期的な展望を考える際に、影響を与えているように見える」と、バンガロールの人材マネジメント会社PeopleEquity Consultingのディレクター、Manesh Mathewは言う。「この仕事は、どうしても単調でやりがいに欠ける」。
NASSCOMによれば、インドのコールセンター産業は、IT技術が可能にするサービスやビジネスプロセスアウトソーシングとして地元ではしばしば言及されているもので、インドのソフトウェアおよびサービス輸出総額の4分の1を占めている。2002年から2003年にかけて、コールセンター市場は59%成長し、23億ドル規模になった。2007年までに、業界の総雇用者数は60万人に達すると、調査会社IDCインドは推測している。
米国のコンサルティング会社NFO WorldGroupの一部である NFO Indiaと、PeopleEquityとは、コールセンター従業員に対する調査を共同で行い、GE、Citibank、Transworks、Convergysといった海外企業をはじめとする、合わせて19社のコールセンターで働く1000人の従業員に面接を実施した。これらのコールセンターのほとんどは、バンガロール、ムンバイ、その他の都市部にある。
この調査の結果、従業員はこの仕事には特有の要求事項があることに気付いているが、仕事と生活のバランスをとるための準備を欠いていることがわかった。また、雇用者は職場でのストレスを減らすための充分な手段を講じていないと、従業員が考えていることもわかった。
さらに、調査に答えた従業員たちは、自らの仕事を長期的なキャリアの選択肢とは見ておらず、この業界にいては職業上の成長もたいして期待できないと思っていることも明らかになった。従業員の大半は、職務条件を充分または過剰に満たすほどの経歴の持ち主で、たとえば回答者の9%はMBA取得者だった。またChennaiという都市にあるコールセンターでは、コンピュータサイエンスの修士号を持つエンジニアが一番多く働いていることも、この調査で判明した。
調査の対象となった従業員たちは給与の額には不満がないものの、「業界の標準ほど、サラリーをもらってはいない」と感じているという。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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