米Oracle幹部が米国時間10日に語ったところでは、同データベースソフトウェアメーカーはグリッドコンピューティングの商業利用に向けた標準策定を支援する業界コンソーシアム設立を進めているという。
データベースサーバ技術担当のエグゼクティブ・バイスプレジデント、Chuck Rozwatは、今週サンフランシスコで開催されたOracleWorldカンファレンスに集まった聴衆を、この新組織はグリッドもしくはユーティリティコンピューティングへの期待に応えたいと考える企業のガイドライン作成を支援するものだと語った。
「業界のさまざまなメンバーが集まって、商用グリッドコンピューティングインフラの一部となるAPIや機能を実際に構成する標準を定義できるよう、商用グリッドコンソーシアムを設立する」(Rozwat)
基本的に、グリッドは処理能力、ストレージ、アプリケーション、およびデータを共有できるよう相互に接続されたコンピュータやコンピュータネットワークをひとつにまとめたものを指す。Oracleの主張では、企業各社は全く活用し切れていないコンピューティングシステムに投資しているが、これをもっと効率的に利用し、非常に強力な処理機能を生み出せるはずだという。同社にとって最大のライバルである米IBMとMicrosoftの2社も、より費用効果の高い形で計算処理能力を向上させる手段の1つとして、この戦略を大々的に宣伝している。
Rozwatは報道陣向けの説明会で、Oracle主導の同コンソーシアムが学術面での目標達成に重点を置いていると思われるGlobal Grid Forum(GGF)といった既存の業界活動と競合しないことを明らかにした。Rozwatによると、同組織は特にバイオテクノロジー、金融サービス、そして医療といった業界でグリッドコンピューティングに取り組む企業のニーズに対応することに重点を置くという。
Oracle関係者によると、同社は前述の3つの業界に属し、同コンソーシアムへの参加を計画する、多数の企業との協約を最終的に詰めている段階だという。情報筋によると、同団体の正式な設立に向けた日程など、当面のスケジュールについては全く決まっていないという。
業界の観測筋は、商業市場でのグリッドコンピューティングの普及に関してGGFがほとんど何もしていないことを指摘し、この取り組みを賞賛した。調査会社米Grid Technology Partnersのアナリスト、Ahmar Abbasは、この動きを「タイムリー」だとし、グリッドコンピューティングが発展しつつある今の時期を90年代後半のインターネットの成長にたとえた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス