MITが次世代バーコードシステム「EPC Network」を発表へ

 研究者と企業幹部で構成されるグループが今月、次世代バーコードシステムの発表を予定している。このシステムによって、現在大半の商品に付されているバーコードに代わって、マイクロチップが使用される日が来るかもしれない。

 マサチューセッツ工科大学(MIT)がおよそ5年の歳月をかけて開発してきたEPC Networkと呼ばれるこのシステムは、9月15日にシカゴで開催されるEPC Symposiumで発表される。同イベントではMITの研究者、一部の世界的大手企業の幹部、さらに米国政府関係者が、他のゲストなども交え、EPC Networkに関する計画について議論する予定。

 同カンファレンスへの参加企業のリストには、Colgate-Palmolive、General Mills、GlaxoSmithKline、Heinz、J.C. Penney、Kraft Foods、Nestle、PepsiCo、Sara Leeなど、Fortune 500に名を連ねる企業がずらりと並ぶ。カンファレンスでは、米国防総省の関係者、およびGillette、Johnson & Johnson、Procter & Gamble、UPSといった企業の幹部が演説を行う予定。

 「このイベントは(これらの次世代システムの開発にとって)大変重要な記念行事だ」と語るのはIT関連の調査会社ePC Groupのアナリスト、Pete Abell。

 EPCとはElectronic Product Code(電子製品コード)の略で、EPC Networkシステムの核をなす、製品に番号付けを行う新しい手法だ。

 このEPCとバーコードには、重要ないくつかの相違点が存在する。第一に、EPCはシステム内の全ての商品に、独自のシリアルナンバーを割り振るように設計されている。これに対しバーコードでは、ある商品がどの製品グループに属しているかしか確認できない。よって、全ての缶入りDiet Cokeには、ほぼ同じバーコードが付されている。EPCの下では、全てのコーラ缶に独自の識別子が付される。小売店や消費財企業は、各商品に独自の製品コードをつけることによって、盗難や偽造の防止、さらに効率的な在庫管理が可能になると考えている。

 EPCは、バーコードを使用する場合に比べ、特定の製品についてはるかに多くの情報をリンク先のデータベースに保存できるよう設計されている。例えば、価格や製造元メーカーなどの情報に加え、商品の位置情報にもリンクが可能。この位置情報は、RFID(無線認識)として知られる、無線を介して通信可能なリーダーと、「タグ」と呼ばれるマイクロチップを使った、複雑なシステムに基づいて割り出される。

 今回のプロジェクトの指揮に当たっているMITの研究グループ、Auto-ID Centerのウェブサイトには、「コーラの缶や自動車の車軸の全てにタグを取り付けた途端に、世界は一変する」や「もはや在庫を数える必要はない。出荷された商品の紛失や配送ミスもなくなる。さらに、サプライチェーンにどのくらい材料があるか、あるいは店の棚にどのくらい製品があるかを推測する必要もない」といった誇らしげな言葉が並んでいる。

 EPCのもう1つの特徴は、96ビットのフォーマットだ。この96ビットという容量は、地球上の全ての米粒に独自のコードを割り振るにも十分な大きさと言われる。「地球上の全ての分子(にコードを割り振る)と、MITの学生たちは息巻いている」とAbellは語る。

 EPC Network(EPCの仕様およびそれらの関連技術)は、まだ研究所での開発の初期段階で、バーコードに取って代わるには最低でもあと10年はかかる、とAbellは予測する。

 その理由の1つは、EPCタグの価格にある。タグは今日でも数十セントで購入可能だが、さらに1セント以下にまで値下がりする必要がある。消費者のプライバシー保護の問題もある。Wal-Mart Storesと英国の小売大手Tescoは、プライバシー擁護派からの批判を受け、店内での初のEPCの試験運用を中止した。さらに、異なる技術サプライヤーが開発した全てのタグ、リーダー、関連のコンピュータプログラムが、確実に連携して動作できるようにするための標準は、未だ開発途上にある。

 この標準の問題に取り組んでいるのが、Universal Product Codeと呼ばれるバーコードを管理する非営利組織Uniform Code Councilの新部門であるAutoIDだ。AutoIDは今年5月、MITのAuto-ID Centerが手掛けていない、コードの割り当て、技術標準の調整、知的所有権管理、仕様の公表、ユーザー向けサポート/トレーニングの提供といった分野を引き受ける計画を明らかにした。AutoIDを指揮するDicki Lulayは、Nabisco FoodsとMcCormick & Companyの元役員という経歴を持つ。

 Abellは「Auto-ID Centerはすばらしい仕事をしたが、世界的な標準団体も必要だ」と語り、さらに「Auto-ID Centerから出されたものは、全てが提案だ。つまり草案にすぎないから、『これを基にシステムを構築できる』とは言えない」と述べた。

 Abellによると、AutoIDがEPCの最初の仕様を発表するのは、今回のEPC Symposium か、あるいは今後数カ月以内の見込みという。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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