インターネットベースの電話利用者が、ウェブ経由の電話会議のような進んだサービスを加えることにした場合、米Microsoftが「通信業界の主要な勢力」として浮上してくる可能性がある、と米調査会社IDCが新たに出したレポートのなかで指摘している。
従来の電話システムと異なり、インターネットベースのIP電話(VoIP)では、運用にコンピュータネットワークが利用される。その結果、VoIPシステムはソフトウェアに大きく依存し、ボイスメールと電子メールとで同じ受信ボックスを共有するといった機能追加が、ほとんどの場合ソフトウェアだけで対応できるようになる。
IDCのIPテレフォニープログラムマネジャー、Tom Valovicが先週CNET News.comに語ったところによると、この点からMicrosoftのように経験の豊富なソフトウェアベンダーが、潜在的に法人/個人の両方の電話市場で、大きなシェアを獲得できる可能性があるという。
「(IP電話の)ビジネスモデル全体が、通常の電話のそれとは根本的に大きく異なる。ハードウェアはコモディティとなり、付加価値はソフトウェアで生み出すようになる」(Valovic)
Valovicによると、Microsoftは既にこういった高度なアプリケーションの開発を、電話機器メーカーの独Siemens、米Avaya、そして米Mitelなどの各社と進めており、今後もさらに提携を進めていくと見られている。
複数のアナリストが、IP電話にはほぼ無限の市場が広がっていると予想してきたが、これまでのところ、世界的な景気低迷がアップグレードの動きを大きく妨げてきた。だが、一部から指摘があるように、企業およびコンシューマーの支出が増え始めれば、「Microsoftは全く新しい、しかも決して小さくはない規模の市場を獲得することになる」と、Valovicは述べている。
市場がまだ黎明期にあることから、その投資額を正確に把握することはもちろん、Microsoftにライバルが現れるのかどうかを予想することでさえも難しい。しかし、市場調査会社のIn-Stat/MDRによると、自社の通信サービス/機器のアップグレードを目指す多くの企業では、予算の大半をソフトウェアへの支出が占めており、また企業各社は今年、このような通信ニーズに760億ドルを投入するだろうという。その内訳は、約120億ドルが音声データだけに投入され、一方データ転送サービスには330億ドルが投じられるという。
Microsoftの関係者からコメントを得ることはできなかったが、Jupiter Researchのアナリスト、Michael Gartenbergによると、「同社はまだ、これを戦略的に重視していない」という。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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