アドビ システムズと日立ソフトウェアエンジニアリングは7月30日、アドビのサーバソフトに関して両社が販売体制を確立したと発表した。日立ソフトがアドビの「Document Server for Reader Extensions 日本語版」と「Graphics Server 2.0」の国内販売を行うというもの。同日より出荷を開始する。
日立ソフトは、大塚商会およびTISと、2製品の販売に関してサブリセラー契約を締結し、3社共同で顧客を開拓する。また既存の販路も利用して製品を供給していく。
アドビは電子フォーム事業を展開する米Accelioを2002年4月に買収し、Webベースのビジネスプロセス向けソリューションに力を入れていた。2003年4月にはAccelioが開発したWeb/XML/PDF対応の電子フォーム設計・運用製品の最新版「Form Designer 5.0 日本語版」、「Adobe Form Client 5.0 日本語版」、「Adobe Form Server 5.0 日本語版」を発表するとともに、今回の2製品についても第2四半期中に出荷すると述べていた。
アドビ システムズ代表取締役社長、石井幹氏 | |
---|---|
アドビ システムズ代表取締役社長の石井幹氏は日立ソフトをパートナーに選んだ理由について、「日立ソフトのシステムインテグレーション力、従来からアドビのサーバ製品を取り扱っている実績、日立ソフトの持つ販売網の強さに加え、今回の新サーバ製品に対する強いコミットメントがあったため」と説明する。
Document Server for Reader Extensions 日本語版は、電子申請などの書類業務を、PDFファイル形式で行うためのサーバソフト。サーバ上に公開した特定のAdobe PDFファイルに対して、注釈ツールや電子署名、記入済みフォームの保存、記入データ送信といった機能を使用可能にする。クライアント側はAdobe PDF形式の電子フォームをダウンロードし、アドビが無料配布するPDFリーダー「Adobe Reader6.0」で展開、保存、入力、電子署名を行って提出できる。サーバ側は、この電子フォームから、データを内部のXMLデータベースなどに取り込むことが可能。
Graphics Server 2.0は、印刷およびWeb向けの画像編集を自動化し、画像の形式変換やサイズ変更といった単純作業を自動化するサーバソフト。Adobe Photoshop、Illustrator、GoLive、InDesignなどのアドビ製品で作成した画像ファイルに対して、カラーモード変換や解像度編集などを行う。編集したファイルはAPDF、EPS、PSD、TIFF、GIF、JPEG、SVG、WBMPなどのファイル形式で出力できる。オープンAPIのサポートにより、OracleやSQLなどのデータベースシステムで構築された既存の印刷/Web制作のワークフロー、コンテンツ管理システム(CMS)やグループウェア、Web Application Serverなどと統合が可能という。
Document Server for Reader Extensionsは電子政府実現をめざす官公庁、電子契約を用いる保険業などに、Adobe Graphics Serverはカタログを製作することの多い旅行代理店や消費財を中心とした製造業及び小売業に向けて販売していくという。
また、日立ソフトはAdobe Graphic Serverのシステムを円滑に導入するための基盤ミドルウェア「Renopulse」を開発したことも発表した。システムをGUIベースで構築する「Designer」と、データベースサーバなどの外部システムと連携させる「Server Library」で構成される。Designerは2003年8月から、Server Libraryは9月から提供を開始する。日立ソフトでは今回の新サーバ製品関連ビジネスに関して、2005年3月末までに5億円の受注を見込んでいる。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」