LinuxによるUnixライセンス侵害を主張する米SCO Groupへの対応について、業界のアナリストの見解は分かれている。SCOの主張を「真剣に受け止めるべき」とするアナリストもいれば、「Linux事業には影響するはずのない脅し」とみるアナリストまで、さまざまな意見がある。
SCOは7月21日に、「LinuxユーザーはUnixライセンス料を支払うか、訴訟の対象となるかのどちらかになる」という声明を発表した。Unixの知的財産を所有する同社は、「米IBMなどの企業がUnixのコードを不正にLinuxに流用した」と主張している。
こうしたSCOの動きについて、米Gartnerは慎重な姿勢を示す。GartnerのGeorge WeissはLinuxを使用する企業に対し、「まずSCOの主張/保証要求/将来の責任に関して同社と話し合う場を設けよ」とアドバイスする。それから、「知的財産権侵害の対象となり得るLinuxアプリケーションやデータベースサーバの導入を遅らせる方がよい」(Weiss)という。
さらにWeissは、LinuxをUnixやWindowsで代替できないか、ライセンス問題を他社に任せられるアウトソーシングは可能か、といったことを検討するよう勧めている。「IBMが裁判でSCOに勝つことを期待して問題を無視していてはだめだ」(Weiss)
それに対し米Robert Frances Group(RFG)は、それほど心配する必要はないとしている。「Linuxを利用する企業は、Linux導入を中断すべきでない。なぜなら、SCOが裁判に勝つ見込みは極めて少ないからだ」(RFGのアナリストのChad Robinson)
また米Illuminataは、SCOが3月にIBMを提訴した当初から懐疑的な態度を示している。「SCOの動きは、一蹴するするほど取るに足らないことではないし、計画変更を急ぐほど重大な問題でもない。しかしSCOと弁護士の行く手には、切り抜けなければならない法的な障壁が数多く待ち構えている」(IlluminataのGordon Haff)
米Forrester ResearchのStacey Quandtのように、「これまでのところ、SCOは“Unixのライセンス契約が必要”と企業を納得させられるだけの情報を公開していない」という意見もある。Quandtは、「(SCOの)主張を鵜呑みにして証拠を確認せずライセンス契約を結ぶことは、何も意味がない」と忠告する。
しかしSCOのスポークスマンのBlake Stowellは、「すでにいくつかの企業を説得している。これらの企業は、当社がライセンス提供を開始し始めたら、契約を結ぶ予定である」と述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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