米マイクロソフト、次の手は「直販」?

 米Microsoftが新たな戦略で売上を伸ばし、ライバルをかわそうとしている。販売店を介さず、企業に製品を「直販」するライセンスプログラム、EA(Enterprise Agreement)である。

 EAでは、Office XP Professional、Office XP Professional、および4つのサーバ関連製品を含むCore CALの利用と、アップグレードを行なうことができる。契約期間は3年。期間内であれば、アップグレードは無制限となる。提供価格はマシンの台数によって異なるが、250〜2399台のデスクトップを所有する企業の場合、1台あたりの年額が289ドルになる。これは他のボリュームライセンスの価格と比べて最大30%の割引にあたるという。

 同社は過去2年間、ソフトウェアの販売数をEAライセンスプログラムで伸ばしてきた。これはつまり、Microsoftがこれまで理想としてきた利益モデル、すなわち全世界に再販業者をめぐらし、顧客の獲得と商品の販売を委任する形からの大きな転換を意味する。再販業者はEAには関与するが、サービス契約はMicrosoftがその大半を行う。Microsoftは顧客が支払った料金から、コミッションを再販業者に支払う。

 EAの場合、Microsoftの代理人はかなりの時間と労力を割いて、取引先にEA契約の技術的メリットや、経済的利益を説明してくれるという。

 米Gartnerのアナリスト、Alvin Parkは「推定で、Microsoftの大企業顧客のうち、30〜35%がEAを結んでいる」と述べている。同氏によれば、この数字は近年、15%上昇しているという。今年3月にはMicrosoftの経営最高責任者(CEO)、Steve Ballmerが「当社の大手取引先4000社のうち、62〜75%にあたる2500〜3000社がEAを契約している」とコメントしている。

 Microsoftは、2001年にEAの加入条件を500台から250台まで引き下げたことで、加入する顧客の幅が広がる結果を生み出した。また、今年3月には、保有するパソコンが5台程度の小規模企業向けとして、EAの標準化や価格体系を真似た新たなライセンスプログラム、Open Valueを開始している。

 Microsoftが顧客への直販を増やした理由については、Ballmerが今月初めに全従業員に宛てて送信したメッセージで知ることができる。Ballmerはこのメッセージで、MicrosoftがLinuxによって直面している問題への対策について取り上げている。さらに、「Microsoft自らが顧客との対話を増やす必要がある」とし、「顧客が欲するものを把握しなければ、競合他社に顧客を奪われるリスクがある」(Ballmer)と語っている。

 Microsoftにとって、EAは顧客への気配りを高める手段となる可能性がある。逆に顧客にとっては、EAによるMicrosoftの直接的アプローチが、ソフトウェア管理費用の削減や、強力なソフトウェアサポートにつながるのだという。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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