「Linuxを狙え!」--マイクロソフトCEOバルマーが全社に号令

 米MicrosoftのCEO、Steve Ballmerは6月4日(米国時間)、全社員に送ったメモのなかで、Linuxとオープンソースソフトウェアが「自社に競争を挑みかける重要な敵だ」と述べた。

 「ITに割り当てられる予算が乏しく、またMicrosoftが顧客へ傾ける配慮についての懸念が生じている現在の環境下では、LinuxやOpenOfficeのような非商業的ソフトウェアは、興味深くて、"充分使い物になる"、あるいは"無料"の代替品と見なされている」とBallmerは、自社の市場でのポジションならびに次年度のゴールを要約した、年に一度社員に向けて出されるレターのなかで、そう述べている。

 「非商業ソフトウェア製品全般、なかでもLinuxは、我が社に、そして業界全体に競争を挑んできており、我々は焦点を集中させ、注意を振り向けなければ、彼らに勝てない」とBallmerはメモに記している。

 「IBMがLinuxを支持したせいで、Linuxの信用度が高まり、サポートも受けられ、問題が生じた場合の責任の所在もはっきりとしたとの幻想が広まってしまった」と記したBallmerはさらに続けて、「だが、現実には'重力の中心'も'中心となる実身体'もありはしない。非商業ソフトの健康を保ち、その成長を促すために投資を行う者もおらず、またエンジニアリング、管理のしやすさ、互換性、セキュリティといった重要な部分では、何のイノベーションもない」と述べている。

 Microsoftは過去数年の間に、ますます痛烈にオープンソースソフトウェアを批判するようになってきており、もっとも最近ではLinuxを相手に回した法的な紛争でSCO Groupに積極的に加勢している。

 他の上級幹部と共に毎年恒例の合宿を行った後で、Ballmerは上記のメモを全社員に向けて送った。昨年度のものをベースに書き改められたミッションステートメントには、単にソフトウェアを提供することから、ソフトウェアおよび関連するサービスの提供へと重点をシフトすると盛り込まれている。今年度のメモにある最優先事項は、このミッションステートメントに記載された事柄を実行に移すことだと、バルマーは記している。

 4日付けのこのメモでは、Linuxおよびオープンソースソフトについて、ますます勢いを増す自社への脅威と述べている。ちなみに、昨年度のものには、そうした記述はほとんど見られなかった。

 Ballmerは、Windows OSや関連するソフトウェアの持つ、時に見落とされがちなアドバンテージをもっと認知させることで、MicrosoftはLinuxの挑戦をかわせるとの自信を示した。彼は最近行われた第三者による調査で、「オープンソースのソフトウェアよりもWindowsを使った方が、全体としてコストがかからない」との結果を引用し、それがサポートとメンテナンスにかかるコストの安さからきていると説明した。

 「IT業界では、常に新たなコンセプトに熱中する傾向がある。いわゆるフリーソフトウェアとは、一番最近に出てきたそんな一過性のものに過ぎない。我々はこの挑戦に立ち向かい、顧客のことを第一に考えた、公平かつ責任あるやり方で戦う。我々は、自分たちのアプローチのほうが、より良い価値、より良いセキュリティ、そしてより良い機会を提供できることを顧客に示すのだ」(Ballmer)

 「非商業モデルでは数々のバラバラなソフトウェアが派生するかもしれないが、いっぽう幅広く、一貫性のあるイノベーションを生み出すためには、数多くのテクノロジー要素をコーディネートする必要がある。万一何かの強化やフィックスが必要になった場合、Linuxの開発コミュニティには--たとえ彼らがどんなに善良な意図を持っているとしてもだ--われわれがWindowsでイノベーションを生み出すように、彼らがLinuxを進歩させることは土台無理な話だし、また我々はそうなるようイノベーションを生みだしていかねばならない」とBallmerは記している。

 Ballmerはまた、インテグレーション(統合)の持つ価値も説いており、一見ほど遠い存在に思える、たとえばサーバーアプリケーションから携帯電話用ソフトまで、全Microsoft製品が必ず一緒に動くようにしなければならないとも述べている。

 「他のベンダーのなかには、インテグレーションに異議を唱えるところもある。だが、我々はインテグレーションから得られる、他にない価値を見出し、それを顧客に届けるのだ」(Ballmer)

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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