米AOL Time Warnerと米Microsoftのインスタントメッセージング(IM)が互換性を持つ可能性がでてきた。両社が5月29日に結んだ和解の一部として明らかにしたもので、今後具体的な話し合いを行うことを約束したという。ただし互換性を実現する具体的な時期は決まっていないため、これまで続いてきたIMを巡る両社の争いが終結に向かうかどうかは微妙なところだ。
市場調査会社の米The Radicati Groupのアナリスト、Genelle Hungは、「MicrosoftとAOL Time WarnerはIMにおける両社の提携について、うわべを装うだけのつもりかもしれない」と語る。「両社はいずれもIM製品を利用した顧客の引きとめに必死だ。私は彼らのいう『相互接続性』には少々懐疑的だ。両社がIMでの勢力をみすみす逃すとは思えない」(Hung)
AOL Time WarnerとMicrosoftは、「デジタルメディア分野での連携と、係争中の裁判を解決するために両社で結んだ包括的契約の一部として、IMの相互接続性を検討していくことになる」と語っている。Microsoftはこの契約の一部として、AOL Time Warnerに対して7億5000万ドルの和解金を支払う。その結果、両社の間でこれまで解決を見いだせなかった訴訟は取り下げられることになった。またAOL Time Warnerは、MicrosoftのInternet Explorer(IE)ブラウザに関して、7年間の無償ライセンス契約を結ぶことで合意に達している。
両社はIM分野について、「AOLとMSN Instant Messengerのネットワーク間で、利用者のプライバシー、セキュリティ、および互いのネットワーク性能が保護された形での相互接続性を模索していくことに合意した」と語っている。
しかし、Microsoft会長兼チーフ・ソフトウェア・アーキテクトのBill Gatesは、「この相互接続性は、具体的なスケジュールにしばられたものではない」と語っている。「両社はIMの相互接続性に関する綿密な話し合いを行うための、全体的な枠組みを設定しただけだ。具体的な日程が決まったわけではない」(Gates)
両社の関係がうまくいかなくなったのは、Microsoftが1999年夏にウェブベースのIMサービスであるMSN Messengerを開始してからだ。それまではIMユーザーの大半がAOLのサービスを使っていた。つまりAOL Instant Messenger(AIM)とICQのいずれかである。
MicrosoftとAOLの間では相互接続性に関する合意は結ばれていないものの、AOLはすでに米Apple Computerと提携を結び、AIMとの互換性を備えたMacユーザー向けIM、iChatを開発している。MicrosoftとAOLの契約が、Appleとのつながりにどの程度影響するかは今のところ不明だ。AppleはAOLとMicrosoftの和解について、コメントを避けている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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