音楽業界の有力者の間でGoogleに関心が集まっている。
YouTubeはここ数年、映画業界やテレビ業界を混乱させてきた。今度は、音楽業界の実力者たちが、Googleが同業界に対してどんな計画を持っているのか知りたがっている。米国4大レコード会社のうち3社が、Google傘下のYouTubeと音楽ライセンス契約の再交渉を行っている。業界の情報筋によると、ソニーミュージックは近いうちにYouTubeとの契約に署名するという。またYouTubeは、一部のレコード会社に対して「数千万ドル」の売り上げを生み始めたと伝えられている。
同時に、Googleの携帯電話向けOSである「Android」上に作成されたAmazon.comミュージックストアは、音楽販売で巨額の売り上げを計上しつつある。Googleは、この件に関し、具体的な数字を発表したり、コメントしたりすることを差し控えたが、筆者の情報筋によると、レコード会社はAndroid端末での楽曲の売り上げについて「大変満足」しているという。また、調査会社IDCのアナリストであるSusan Kevorkian氏によると、Googleは、検索機能を使用してユーザーが音楽を探したり購入したりする手助けをして、いつか巨大市場に進出する可能性があるという。
例えば、ユーザーがGoogleの検索エンジンに曲名を入力すると、Googleは「click-to-buy」リンクを表示できるとKevorkian氏は言う。あるいは、検索エンジンを使って曲を提案したり、地元の音楽イベントに注意を向けさせたりすることもできる。
信じ難いことだが、生涯の技術者であるGoogleの最高経営責任者(CEO)Eric Schmidt氏が、図らずもデジタル時代のDavid Geffen氏あるいはAhmet Ertegun氏のような音楽業界の大物になるかもしれない。音楽業界で幹部が影響力を行使する前に、Googleにはもちろん、先に挑戦すべき課題が多くある。Geffen氏とErtegun氏の2名はやはり、これまでで最も大きな影響力を持つレコード業界トップだった。
もちろん、Schmidt氏が自分のオフィスの壁にゴールドアルバムを掛けるだろう、とかハリウッドに引っ越すだろう、とは誰も言わない。1つには、Googleはタレントの売り込みやレコード制作ビジネスに参入していないからだ。別の理由として、ある音楽業界筋によると、Googleのその種の売り上げは、Amazonはおろか「iTunes」などの売り上げと並ぶものではないからだという。
それだけでなく、Googleは現時点で、米国4大レコード会社が所有する音楽ライブラリのライセンス権を得ていない。YouTubeとWarner Music Groupは新しいライセンス契約で合意に至らず、WarnerのコンテンツはYouTubeのサイトから削除されている。
しかし、影響力の点から見て、レコード業界のかつての権力者が成し遂げたことと張り合うのは、それほど想像し難いことではない。
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