カンザス州カンザスシティーの小規模なウェブ開発企業を女手一つで経営するShawna Hampton氏は、Skype TechnologiesのIP電話サービスを利用しているが、予備の手段を確保する必要が常にあることを心得ている。
Hampton氏は、米国時間8月16日から18日にかけて「Skype」のサービスが停止している間、顧客とSkypeで通話できなかったため、携帯電話が手元にあることのありがたみを実感したと話す。同氏は会社を設立したとき、経費を節約するために、年間40ドル払えば米国内で無制限で通話ができるSkypeのサービスを優先的に利用することに決めていた。
「Skypeを利用するなら、予備の手段が必要だと常々思っている。サービス停止には困惑したが、携帯電話を使えたから大事には至らなかった」とHampton氏。
Hampton氏の言いたいことはよくわかる。多くの大企業はすでにIP電話に乗り換えているが、小規模企業は従来型の電話サービスの利用をまだ切り捨てたくないのかもしれない。
実際、多くの専門家も、小規模企業が公共のインターネットを利用するVoIPサービスに依存しすぎるのは危険だと考えている。その理由は単純で、公共のインターネットはまだ「ベストエフォート型」ネットワークとして認識されているからだ。どんなタイプのトラフィックであれ、ひとたび公共のインターネットに送られれば、優先されることなく同じ扱いになる。また、たとえ音声パケットが多くの帯域幅を占有しないよう工夫された技術であっても、遅延には非常に弱く、パケットが遅れて届くことにより、音質の劣化や通話の切断が生じる可能性もある。
不安定な音質や不意の回線切断を我慢できる消費者もいるかもしれないが、ビジネスユーザーは一般に、品質と安定性に対し、消費者よりも高い期待を抱いている。
「インターネット自体がビジネスの基準に達していない」と、Forrester ResearchのバイスプレジデントLisa Pierce氏は語る。「ネットワークの性能はかなりきまぐれで、高速道路のようなものだ。高速道路では、車がなくてすいすい走れるときもあれば、何時間も渋滞で立ち往生することもあるが、それと同じことだ」
一方、Cisco SystemsやAvayaといった供給業者のVoIP技術を導入した大企業は、音声トラフィックを伝送する際に公共のインターネットは使わない。その代わり、社内での通話に専用のIPネットワークを使用しているのだ。他の支店に電話する際には、Verizon CommunicationsやAT&Tなどのサービスプロバイダからレンタルしたデータリンクを利用する。したがって、LANおよびWANインフラをアップグレードして大規模なVoIPを導入するのに、往々にして数百万ドルもの投資が必要になる。
こうしたエンタープライズ向けVoIPシステムは、従業員数が100人未満の企業にとって、コストが高くつきすぎる。CiscoやAvayaの小規模企業向けサービスでさえも、多くの企業、特に従業員数が10人未満の企業にとっては往々にして高価すぎるのだ。
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