通話・ネットが月額3000円で使い放題に
PHS事業のアステル東京などを手がける通信事業者の鷹山は、2005年12月より固定通信(FWA)方式の無線IP電話サービスを始める計画を発表した。
電子メールやデータ通信のほか、自社ユーザー間の音声通話も含めて利用料金を月額3000円の定額使い放題にするというのが売り文句だ。音声通話の定額制サービスはウィルコムが月額2900円で5月より提供すると発表しているが、データ通信やメールの使い放題を含めると利用料金は月額5000円になる。鷹山の新サービスは利用エリアが限られるために同列で比べることはできないが、特に法人ユーザーにとって月額3000円という定額料金は魅力的だろう。
鷹山は、高速無線技術のWiMAXを利用することでこの料金設定を可能にしたという。WiMAXを使ったサービス展開を表明したのは、国内では鷹山が初めてだ。WiMAXとは一体どのような技術なのか、そして鷹山はどのようなサービスを具体的に計画しているのだろうか。2回にわたってとりあげる。
WiMAXとは何か
ここではまず、WiMAXという技術がどのようなものであるかをおさえよう。WiMAXとはWorldwide Interoperability for Microwave Accessの略で、IEEE802.16という規格に基づいた高速無線通信方式を指す。802.16は1つのアンテナで半径50kmをカバーでき、通信速度は最大75Mbpsとされている。
もともとは電話局から家庭や企業までのラストワンマイルを高速無線でつなぐことを想定して策定されたもので、光ファイバの敷設が難しい、あるいは電話局からの距離が遠いためにADSLでは通信速度が遅い地域や建物などでブロードバンド接続が利用できるようにするためのものだった。現在ではこの用途に加え、高速の移動体通信技術としての利用が注目されている。
無線通信技術としては、ほかにBluetoothやWi-Fiなどがあるが、通信距離や速度の面で違いがある(表1)。
表1.WiMAXとほかの通信技術の主な違い
(CNET Japan編集部調べ)
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802.16の標準化動向
802.16は、長距離の高速無線通信が可能な規格として2001年12月にIEEE(米電気電子学会)で承認された。しかしこの規格では利用周波数帯が10〜66GHz帯と高く、見通しのきく範囲(基地局と端末の間に障害物がない状態)でしか利用できない可能性があった。そこで2003年1月には2〜11GHzの周波数帯を用いて、障害物があっても電波が届くようにした追加仕様の802.16aが、2004年6月には802.16-2004が策定され、承認された。
802.16-2004は、電話局から家庭や企業までのラストワンマイルをつなぐものとして、ADSLやFTTHなどの固定ブロードバンド回線を代替することを想定している。現在策定中の規格としては、携帯電話のように移動しながら利用することを目的とした802.16eがある。高速の移動中でも通信が途切れないように、基地局間のハンドオーバーなどを強化している。802.16eは2005年夏ごろに規格が策定される予定だ。
802.16-2004では、20MHz幅の周波数を利用した場合、最大75Mbpsの通信速度が出るとしている。通信距離はアンテナの高さや出力の強さなどによって異なるが、最大で50km程度となる見込みだ。
これに対し、移動通信用規格の802.16eは5MHz幅の周波数を利用して最大15Mbpsの速度が出る予定だ。通信距離は802.16-2004よりも短く、2〜3kmになるとみられる。
802.16-2004では11GHz以下の帯域を利用するように定められており、802.16eでは6GHz以下の帯域を使うことが盛り込まれる予定だ。なお、WiMAXの利用推進を図る業界団体のWiMAX Forumでは、2.5GHz帯(2.3〜2.4GHz/2.5〜2.7GHz)、3.5GHz帯(3.3〜3.8GHz)、5.8GHz帯(5.25〜5.85GHz)のいずれかを利用するように推奨している。
表2.802.16規格の比較
(インテル資料より、規格化完了時期はCNET Japan編集部調べ)
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