ウィルコム(旧DDIポケット)は3月15日、音声通話の定額サービス「ウィルコム定額プラン」を正式に発表した。5月1日からサービスを開始し、ウィルコム契約者同士であれば月額2900円の定額料金で音声通話が可能になる。また、電子メールの利用料も定額料金に含まれる。
今回発表したサービスは全端末が対象となる。ウィルコム契約者以外の相手に電話する場合は、別途利用時間に応じた通話料金がかかる。
また、電波を逼迫させる恐れのある使用方法を制限するため、連続通話時間が2時間45分以上になった場合は30秒ごとに10.5円の超過料金を課金する。16時間以上の連続通話は回線を切断する場合がある。「これは我々の想定外の通話を制限するためのもの。通常のユーザーが2時間通話した後に1度通話を切って、再び2時間通話する形であれば、定額で利用できる」(ウィルコム代表取締役社長の八剱洋一郎氏)
データ通信の定額サービスは携帯電話でも一般化してきたが、音声通話の定額サービスは移動体通信事業者では初めてのことだ。
今回のサービスが実現可能となった背景について、八剱氏はバックボーンのIP化と基地局の拡大をあげた。まずバックボーンについては、これまではISDNを利用していたため、通信量に応じてインフラコストがかかっていた。これを光ファイバによるIPネットワークにすることで、インフラコストが通信量にかかわらず一定となり、定額サービスが実現可能になる。ウィルコムではバックボーンのIP化を進めている最中だが、全国的な工事の実現が見えてきたため、今回の発表に至った。
もう1つの基地局については、2006年3月までに人口カバー率が99%を超えることと、古い基地局を新しいものに交換して1基地局あたりの収容人数を増やすことで、周波数が逼迫しないようにした。「現実的に考えられる最大値でシミュレーションしても、つながらないユーザーは出ないという結果が出た」(八剱氏)
定額制の導入により、顧客単価にあたるARPU(顧客1人あたりの平均売上)は減少する可能性がある。八剱氏も「全体平均で、APRUが最大で10%減る可能性はある」と話す。しかしウィルコムでは今回の新サービスの投入によって、数十万件から100万件の新規ユーザー獲得を見込んでおり、「売上減のリスクはほとんどない」と八剱氏は断言した。
同社ではウィルコム定額プランの契約者を対象に、パケットデータ通信を定額で利用できる「リアルインターネットプラス1x」というプランも用意した。月額2100円で、電話端末から、もしくはPCと電話端末を接続したインターネット接続が無料で利用できるようになる。リアルインターネットプラス1xは7月1日よりサービスを開始する。
ウィルコムは2004年10月にKDDIグループから外れ、現在は投資会社のカーライルグループが筆頭株主となっている。2005年2月には社名をDDIポケットからウィルコムに変更し、通信速度を256kbpsに高速化したAIR-EDGE[PRO]と、データを圧縮することで体感速度を向上させたAIR-EDGE MEGA PLUSの提供を開始している。
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