几帳面さと芸人のような個性を--ネットレイティングスが求めるアナリスト像

鳴海淳義(編集部)2008年01月29日 20時07分

 ウェブサイトの閲覧状況などの調査レポートは、世の中の流れを見る上で非常に有用だ。一瞬にして人気サイトが生まれ、目まぐるしく状況が変化していくネット業界において、継続的に視聴率データを公開し続けてきたネットレイティングスが果たす役割は大きい。例えば2006年初頭に、動画サイト「YouTube」を訪問する日本人が急激に伸びている実態を浮かび上がらせたのもこの会社だった。

 同社は1999年に設立され、2000年4月よりインターネット視聴率のデータを提供している。当時はネット視聴率という商品が日本に存在しなかったため、自らマーケットを拡大しつつシェアを獲得し、事実上のデファクトスタンダードの地位を築いてきた。国内ではネットレイティングスとビデオリサーチインタラクティブの2社が視聴率調査の代表格だ。

080129_netratings1.jpg代表取締役社長兼COO 萩原雅之氏

 2008年秋にはネット視聴率サービスの全面的なリニューアルを控えているため、2007年はリニューアル準備にかなりのリソースを割いてきた。代表取締役社長兼COO 萩原雅之氏は「昨年はやはり準備の年だった」と振り返るが、それでも、売り上げ、利益ともに過去最高を記録し、着実に予算を達成している。

 また一方で、アクセス解析サービス「SiteCensus」も手がけている。後発で参入し、多数のプレイヤーがひしめくため、ネット視聴率とは対照的な状況だ。

 デジタルフォレストの「Visionalist」、オムニチュアの「SiteCatalyst」、さらにはGoogleの「Google Analytics」という無料サービスが比較対象となる。ただ、無料のアクセス解析が出てきたおかげで、プロフェッショナルサービスのニーズはむしろ高くなってきているという。そのようななか、SiteCensusはトヨタ自動車のウェブマーケティングプラットフォーム「eTOYOTA.net」にも採用されるなど好調だ。

 どちらも数値データという無形のものを商品として提供するビジネスであるため、データに付加価値を与える人材が不可欠だ。同社にはセールス部門、アナリティクス部門があるが、セールスの人員も名刺上はセールス&アナリティクスという肩書きで、顧客ごとのニーズに応じて、データをカスタム化したり、特別な集計や分析を行ったりしている。

 「2000年から2001年、2002年ぐらいは、視聴率というサービスそのものが認知されていないわけなので、市場を拓く力が求められていました。ある程度機動力のある営業スタイルです。しかし、視聴率というのは、すべての企業が導入するものではないですから、お客様の数自体は実は2003年、2004年ぐらいからほぼ確定してきました。基本的には更新モデルなのです。それ以降何をしてきたかというと、今度はお客様の方にデータを使うノウハウなどが貯まってきます。そうすると、『もっとこんなことはできないか』とか、『どう使ったらいいのか』という相談を、お客様がうちの営業スタッフに直接問い合わせてくることが多いわけです。そこで市場を拡大する力に代わって、市場を育てる力が必要になってきました。ニーズや課題があればお客様と一緒に考えていくことが、実は営業に求められています」(萩原氏)

 現在の社員数は約50名。基本的には営業とアナリストとエンジニアを満遍なく採用できているという状況で、それぞれの職種で採用を続けていくという。

 入社してくる人には、調査のバックグラウンドを持つ、あるいはデータを読むことが好きな人が多いそうだ。ただ、採用の段階でアナリスト的な素養が求められることはないと萩原氏は言う。「入社してから、営業でありながらアナリスト的な要素、あるいはアナリストでありながら営業のセンスを持つことは可能だと思っていますので、実際に採用するときに、調査データを見たことがないから駄目だとか、お客様のところへ行ったことがないから駄目とか、そういったことはほとんど考えていないです」

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