几帳面さと芸人のような個性を--ネットレイティングスが求めるアナリスト像 - (page 2)

鳴海淳義(編集部)2008年01月29日 20時07分

 萩原氏といえば、オンライン調査やネットマーケティングをテーマとしたメーリングリスト「SurveyML」の主宰としても有名だ。またネットレイティングスが発行しているメールマガジンでも同社のアナリストが積極的に情報発信を行っている。情報発信が活発な社風は視聴率調査という特殊なビジネス形態に起因する。

 調査業は一般的には受託業である。建設業やコンサルティング業のように顧客から発注を得て、それに対してサービスを提供する。だが、ネットレイティングスは「シンジケート型」と呼ばれる形態をとる。つまり、あらかじめ調査商品やサービスを作っておいて、それを売ることが多いという。そのため、アナリストを中心に情報を積極的に発信していく方針をとっている。

 「やはり外に出ることは非常に励みというか、責任も必要になってくると思います。ネットレイティングスというブランドもですが、やはり個人として外に自分の名前で情報を発信しても、きちんと見てもらえるような人材をぜひ出していきたいと考えています」(萩原氏)

 では、そもそもアナリストにはどのような人が向いているのだろうか。萩原氏はいくつかのレベルに分けて説明してくれた。「データにはいろいろな処理の段階があります。生のデータがあったときに、その事実をそのままわかりやすく書くということがまず一つ。その上にデータが何を意味しているのか、『1位が何とかで2位が何とかでした』ではなくて、『1位と2位の関係にはこういうものがあるので、こういうことではないか』みたいなことを書く。ここまででもまだデータレベルなんです。さらに、世の中の情報をどのぐらい蓄積しているかによって、インサイト(洞察)が生まれる。それはまた違うステージなのです」

 根底にあるのはきちんとデータを読む力、正確さ、緻密さ、几帳面さといった要素だ。そして、それにセンスが加わる。「時には全然常識を離れた発想で数字を見ると、ふと思いつくことがありますので、やはりその本人のデータを読むセンスだと思います。データを読む人も職人なので、だからレベルがいっぱいあります。基本からきちんとやっていくうちに、創造性とかその人の個性が出てきます。去年のキックオフのときに、『リサーチャー芸人論』みたいな話をしたのですが、アナリストには、データをきちんと読むという部分の几帳面さと、芸人の持っているような個性や特色が、絶対に必要だと思います」(萩原氏)

 まもなく予定されている、ネット視聴率調査のリニューアルでは、今後主流になっていくと予想される新しいデータを取得できるようになるという。ニールセン自体がラボ的な開発機関を持っているため、日本ではテクノロジー開発の恩恵を受けつつ、会社として利益が出るものを優先しながら順次投入していくスタンスだ。

 「2、3年の間、じっと準備していましたが、今年は攻める年になっていくと思います。近々戦略発表会を開き、そこでいくつか報告していきます」(萩原氏)

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