まず、どんなにユーザーの趣味嗜好が多様化したとしても、良い作品でないと生き残れないというのは真実だと思います。大前提ですね。
そして、「ユーザーに喜んでもらえるソフトって何?」ということを考えると、何を使って遊ぶかによっても違ってくると思います。我々は、それらを踏まえてユーザーに価値があると思ってもらえるフック――たとえば斬新なテーマだったり、信頼のブランドみたいなもの――を、求めているユーザーへ、いかに上手に伝えられるかこそが重要になるでしょう。
プラットホームでいえば、任天堂さんの戦略というのは先日岩田社長がまとめられていた「ゲームする人を拡大します」に集約されています。そこから戦術として、確信を持った強力なマーケティングが行われて、脳トレをはじめとする一連のタイトルがラインナップされている。そうでなければ、テレビCMでタレントの松嶋菜々子さんを使うなんて、普通のパブリッシャーではできません。
あれはゲーム人口を増やすんだ、ゲーム機に触ったことのない人にもゲーム機を触らせるんだという、フィロソフィーがないとできないことですよね。
そのフィロソフィーが、日本のみならず世界中のマーケットを拡大したということは、すごく評価されてしかるべきだと思っています。
最大の市場として広がりつつある任天堂プラットホームに、パブリッシャーとして、今まで以上に重視していくという姿勢というのはあります。けれど、PlayStation 2ユーザーの動向が今後どうなっていくか、PLAYSTATION 3(PS3)がどういう速度で普及が進むのかということを占うのは非常に難しい。難しいのですが、それでも(開発)資源の配分という部分では、ワールドワイドでWii、PS3、Xbox 360、全部に当然のことながら札を張っています。そして、それでいいと思っています。これは、携帯型ゲーム機でも同様です。
ユーザーの多様化によって、いろいろな売り方、作り方ができるようになったのは、ファミリーコンピュータやプレイステーションの頃とは違うのかもしれません。 その多様化から、いろいろなノウハウが日本はもちろん、米国や欧州で生まれています。それらを活用できるメーカーでなければ、他社との差別化はできないと思うんです。
ぱっと一言でいうと、セガはエッジが効いていないとセガらしくないと感じるのではないでしょうか。昔からセガを応援してくれるユーザーのみなさんは。メガドライブもセガサターンも、もともとそういうハードでしたし。
で、そういうイメージは今はプラットホームに頼らなくてもできると思うんです。エッジが効いているというのは、作品のフックの話ですし、セガって聞いた時にゲームがいくつか思い出されるというのは、どこのプラットホームという話ではなく、どういう作品だったかという話ですから。
昔は「This is COOL」なんてプロモーションをした時代もありましたけれど、そういうプロモーションフレーズではなく、出していくタイトルひとつひとつでイメージづけをしていくしかないと思います。
これは抽象的な答えになってしまいますが、「龍が如く」は、非常にセガっぽいタイトルでしょう。「マリオ&ソニック AT 北京オリンピック」は、セガっぽくはないかもしれないけれど、セガのIP(知的財産)を活用して北京オリンピックのオフィシャルなマークをつけていること自体で、ワールドワイド性をかもしだしています。
そういった意味では、このワールドワイド性にセガらしさを感じていただいても、今後はいいと思っています。
強いていていえば、メジャー感とでもいいましょうか。エッジ感とメジャー感。ちょっと直球過ぎますが、これはやっぱり重要なキーワードだと思います。
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