電子書籍について知ったかぶりをするための短期連載。第1回の導入編で電子書籍のメリットとデメリットを、第2回の端末編でデバイスの選び方について紹介してきた。最終回となる第3回は、電子書籍を購入する際のストアの選び方についてお届けする。
Kindleの上陸、さらにiPad miniやNexus 7といった7インチ台のタブレットが相次いで投入されたりと、電子書籍を読むためのデバイスは百花繚乱で、さまざまなサイトが利用できる。多数の電子書籍ストアの中からどのような観点で自分に合ったストアを探せばよいのか、本稿では筆者なりの考え方とその方法を紹介していきたい。
なお本稿では、記事の結論として特定の電子書籍ストアを紹介することはしない。あくまでストアを選ぶための“目”を養うのが目的であり、本稿の方法を参考にしつつ、嗜好に合ったストアを探していただければと思う。
多くのストアでは「○万冊のラインアップ」といった具合に、豊富な品揃えをアピールしている。たしかに取り扱い数が多ければ、それだけ読みたい本に出会える確率が増えるように思える。ある意味ではこの考え方も間違っていない。「2万冊のストア」よりも「5万冊のストア」のほうが選択肢も多く、それだけ未知の本との出会いが待っているように見えるのは当然だ。
しかし、電子書籍ストアにおけるコンテンツの数え方は、紙の本とはニュアンスが異なることには気をつけたほうがよい。雑誌を記事単位でカウントしている場合もあるし、今夏に話題になった楽天のkoboは、1枚ものの画像のほか、譜面やWikipediaの記事まで1つとしてカウントしている。「冊」「点」「件」「コンテンツ」「タイトル」など単位を変えていたり、注釈をつけているケースもあるが、初めて電子書籍に触れるユーザーにとっては理解不能だろう。
ちなみに本の定義について、ユネスコでは表紙を含まず49ページ以上の不定期刊行物を「本(図書)」、5ページ以上49ページ未満の不定期刊行物を「小冊子」としているので、仮にこれらのルールに則るならば、小冊子にすら含まれない「本」が大量に混入していることになる。電子書籍という新しいメディアであるにせよ、ユーザーの無知に付け込むような表記方法は、疑問の残るところだ。
ともあれ間違いなく言えるのは、公表されている蔵書数だけで電子書籍ストアを比較するのはやめたほうがいい、ということだ。個人レベルであらゆるストアの蔵書の内訳をチェックするのは不可能であるから、数字だけで判断するとアテが外れる可能性があることは知っておいて損はない。また、こうしたロジックにまったく言及せず、各ストアの公称値だけを比較して電子書籍ストアの優劣を論じているレビュー記事があれば、それは読み飛ばして問題ない。
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