4月初頭、大手携帯電話キャリアと端末メーカーが合意したことで、SIMロック解除に向けた動きが慌しくなってきた。SIMロックとは、携帯電話端末を通信契約したキャリア経由でしか利用できないように制限する仕組みだが、これが解除される見通しとなって利用者は携帯端末を自由に選べるようになる。古い体質が残っていた通信業界の改革が進みつつあるとして注目を集めている。
株式市場ではNTTドコモやKDDI、ソフトバンクが株式公開する3大キャリア。総務省とキャリアの合意を受けた4月5日の株式市場ではソフトバンクが大幅安。SIMロック解除による顧客流出が懸念されているという。ソフトバンク株はその後も軟調に推移。一方でNTTドコモは合意を受けた直後の動きこそおとなしかったものの、その後に2009年度の携帯電話の契約純増減数で4年ぶりの首位になったこともあってジリジリと上昇して年初来高値を更新。4月16日には2010年10月に付けた高値15万400円も奪回し、上値視界を広げてきている。KDDI株は大きな動きもなく推移してきたものの、4月16日に2010年3月期業績予想の下方修正を発表。軟調な推移に進みつつある。
一方、小型株市場でもSIMロック解除に恩恵を受ける銘柄を探す動きが活発化している。筆頭は日本通信。NTTドコモなどの通信回線を借りて無線データ通信サービスを提供するMVNO。日本通信は3月17日、総務省などの合意に先立ってSIMだけが入っているパッケージ製品、「b-mobileSIM」シリーズを4月5日から順次発売することを発表していた。b-mobileSIMにはNTTドコモ3Gネットワーク用のSIMカードが入っており、これをSIMフリー端末に挿すことで一定期間使い放題で3Gネットワークが利用できるというもの。日本通信は携帯網開放、オープン化を推進してきた企業であり、更なるオープン化を進めるSIMロック解除も強力に推進する方針を示している。株価は製品発表、総務省の合意などのタイミングで折にふれて人気を集めていた。
このほか、足元で市場の注目を集めているのは小型モーターのシコー。同社のモーターは携帯電話向けが9割を占め、特にNokiaやSAMSUNGなどの海外メーカー向けに強い。株式市場の連想では、SIMロック解除によって海外端末メーカーが日本市場の開拓に進むとみられており、シコーは納入先の生産台数増加にメリットを享受すると思惑視されている。株価の騰勢は激しく、年初の2万円台から業績改善期待を背景に14万円台まで上昇。今回のSIMロック解除にからむ思惑を受け、4月19日には23万円台まで買い進まれている。
このほかにも組み込みソフトや着せ替えコンテンツを手掛ける企業にもメリットが生まれるのでは、との思惑が広がりつつある。小型株市場のテーマ株物色は大きな広がりをみせている。
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