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アップルを待ち受ける「成長の限界」
サンフランシスコで開催された今年の「Macworld Expo」は、近年のApple Computerの変容を見せつけるものだった。新しいAppleは小粋で、優美で、知的で、しかもセクシーだ。Appleのもとで、シリコンバレーとハリウッドは融合した。Appleはカウンターカルチャーとテクノロジーを愛する革命主義者のブランドから、裕福な人々のブランドへと変わった。Steve Jobsは薄利多売を基本とする熾烈な競争が繰り広げられる市場で、十分な可処分所得を持つ層が無理なく買うことのできる人気ブランドを作ることが安定した利益を確保する道となることを発見した。確かに、Appleはこの数年間で値下げを余儀なくされたが、それは大した問題ではない。米国のつつましい労働者がAppleとDellを見比べれば、Dellを選ぶのは当然だ。プロのグラフィックデザイナー、ミュージシャン、筋金入りのMacファンといったコアの層を除けば、Appleの顧客層はオシャレで流行に敏感な人々(またはそうなりたいと考えている人々)である。このイメージを固めるために、AppleはBMWと提携し、BMWのカーステレオに自社の音楽プレーヤー「iPod」を接続できるようにした。
ハイエンド市場での地歩は固まりつつあるが、PC市場でのシェアは数年前の10%から、約2.5%にまで落ち込んでいる。もっとも、市場シェアがこれほど低いにもかかわらず、同社は黒字経営を維持しており、製造コストを削減し、少数精鋭を貫くことで、余裕のある利幅を確保している。
Apple製コンピュータには多くの利点がある。そのひとつは「Mac OS X」だ。Appleの最新OSであるMac OS XはUnixベースの優れたハイブリッドOSで、非常に使いやすい。さらに重要なのは、このOSがWindows PCでは日常茶飯事となりつつあるセキュリティ問題とほとんど縁がないことである。Mac OS X向けに開発されている多くのアプリケーションも、Macと同様にスマートで、使い勝手がいい。こうした特徴は創業直後から、Appleの際だった特徴となっている。「Lisa」に始まるこの伝統は、初代Macで認知され、最新の製品にまで脈々と受け継がれてきた。Mac OS XがAppleの大きな差別化要因となっていることは間違いない。
動作速度も悪くない。AppleはMacの性能を高めるために、過去に何度かマイクロプロセッサを変更している。G5シリーズの比較的新しいものは、馬力の点でも競合製品に引けを取らない。こうしたセールスポイントに加え、近年のMacは見た目でもユーザーの心を捉えている。小粋で、セクシーで、工業製品を思わせるその姿からは、何とも言えない高級感がにじみでている。こうした特徴をアピールするために、Appleは広告キャンペーンを展開し、Macの購買層--つまり、活動的で、知的で、スタイルにこだわり、どこか反体制的なところのある人々に訴えかけている。
マイクロプロセッサの変更
今年のMacworld Expoでは、Appleが再度マイクロプロセッサを変更することが発表され、大きな話題を呼んだ。今回、新たに採用されたのは、Intelの最新チップ「Core Duo」だ。Core Duoは多くのノートPCに採用され、成功を収めたIntel製チップ「Pentium M」の拡張版と言っていいだろう。Appleにとって、これは悪くない決定だったが、Core Duoへの移行はいくつかの矛盾と新たな難題を生み出したように思われる。Appleがチップを変更するきっかけとなったのは、IBMのマイクロプロセッサ「Power 5」の行き詰まりだった。Powerアーキテクチャは、(ちょうどIntelの「Pentium 4」のように)限界に達していた。発熱の問題もあった。実際、Appleが新型ノートPCにPower 5を搭載できなかったのはこのためである。Appleにとって、これは深刻な問題だった。Appleが手を打ったのは当然の判断だろう。
Macworld Expoでは新しいソフトウェアも発表された。最も注目を集めたのは、小型のリモコンで操作できるデジタルメディア用のコントロールパネル「Front Row」だ。AppleはMacを個人向けデジタルエンターテインメントの中心に据えたいと考えており、Front Rowをこの計画の柱と位置付けている。Front RowはAppleが運営する人気のオンラインデジタル音楽ストア「iTunes」と統合される。Front Rowを使えば、オンラインで購入した音楽やビデオを愉しんだり、映画の予告編を観たりすることも可能になる。

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