CNET Japan Live 2014 Winter

ソーシャルメディアを賑わせた成功事例から考えるコンテンツマーケティングの勘所

山田井ユウキ2014年12月26日 08時00分

 12月4日に開催されたイベント「CNET Japan Live 2014 Winter」で「ソーシャルをザワつかせるキラーコンテンツを生みだせ」と題したパネルディスカッションが行われた。登壇者はホワイトプラスの鯉谷淳氏、モンテールバリューの平井和美氏、電通パブリックリレーションズの根本陽平氏。モデレーターは電通パブリックリレーションズの細川一成氏が務めた。

 同セッションで取り上げられたのは、ソーシャルメディアを賑わせたコンテンツマーケティングの3つの事例である。

リネット「潔癖刑事」

 ホワイトプラスは宅配ネットクリーニング「Lenet(リネット)」を展開している。24時間ネットから注文可能で、引き取りから自宅への宅配まで、すべてネットで完結する日本初のクリーニングサービスだ。同社ゼネラルマネージャーの鯉谷氏によると、米国ではメジャーになりつつあるものの、日本ではまだまだ認知度が低いという。

鯉谷淳氏
ホワイトプラス ゼネラルマネージャー 鯉谷淳氏

 日本でも「メジャー感を創出したい」という悩みを抱えていた同社だが、プロモーションにかけられる予算は少なかった。「なんとかサービスに直結させ、新規申し込みを獲得したい」という狙いから、タレントの坂上忍さんを起用したネット動画「潔癖刑事」を制作した。

 これが瞬く間に話題となり、3日間で100万再生を記録。この他、ウェブ媒体で322件、ツイート数も914件と伸び、テレビ番組や新聞などでも紹介されるなど大ヒットした。狙い通り、同社の新規獲得会員数も前年同期比で300%となり、リネット会員数は8万人を突破したという。

 「潔癖刑事」は坂上忍さんを刑事役として起用した短編ドラマ。事件現場に駆けつけた坂上忍さんが、潔癖故に指紋を吹いたり、ダイイングメッセージを消してしまったりしてしまうユニークな内容となっている。「潔癖刑事」が成功を収めた理由として、鯉谷氏は「コンテンツにニュース性を盛り込んだ」ことを挙げる。

 たとえば坂上忍さんは企業とCM契約を結ぶのが子役以来の30年ぶりであり、これが新CMを追いかけているニュース担当者に注目された。また、刑事役で出演したことが映画媒体に、掃除用具のコロコロを常備しているという坂上忍さん自身のきれい好きキャラがウェブニュース媒体に、そして「彼女にはクリーニングされないように」というコメントが芸能系の媒体にそれぞれ取り上げられた。

 同じニュースであっても、取り上げるポイントは媒体ごとに異なる。「潔癖刑事」は各ニュース担当者に刺さるポイントを随所に用意することで、より多くのメディアに露出することに成功した形だ。

モンテール「大阪発スイーツ開発部」

 モンテールは、チルドデザートを製造、販売する企業。創業は1954年であり、60周年にあたる2014年、「内向きから外向きへ」をキーワードにプロモーションに取り組むことになった。平井氏が所属するモンテールバリューはモンテールのグループ会社。

平井和美氏
モンテールバリュー コーポレートコミュニケーショングループ 企画宣伝チーム リーダー 平井和美氏

 特に目標としたのは「近畿圏での認知度の拡大」だ。平井氏によると、同社は東京で生まれた企業であり、西日本での認知度が低かったという。商品は全国で流通しているが、PR活動をこれまで東日本でしか展開してこなかったためだ。しかし、2014年8月に岡山に工場を設立。「本腰を入れて西日本でのPRをやっていこうとなりました」(平井氏)

 しかし、テレビCMを打つことはしなかった。その理由は「テレビCMはPR効果に波がある」ため。同社では受注してから商品を届けるまで1日で行っており、さらに洋菓子を扱っている関係上、波があるプロモーションが打ちにくいのだ。

 そこで、企画したのが「近畿圏限定での新商品の開発」だった。

 この商品開発の過程を「大阪発スイーツ開発部」と題し、特設ウェブサイトで公開することにした。しかし、「単純に商品開発の過程をなぞって公開するだけでは、ターゲットに届かないと考えた」と平井氏は言う。そこで、ソーシャル上での拡散を狙い、以下の3つのポイントを設定した。

  • 随所でボケることで、思わずリツイートしたくなる突っ込みどころを作る
  • 大阪に住む人の関心に特化したコンテンツに絞り込むことで大阪に徹底的に寄り添う
  • 実際の社員が登場するなど“人”の顔を見せることで親近感を出す

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